4.変わらない場所
---------


兄さんが世界で活躍し始めて2週間が経とうとしていた。

がらりと変わった環境の中、何一つ変わらなかった唯一の場所、
帝国学園へと今日も足を踏み入れる。


教室に向かう途中、前方にクラスで一番仲の良い成神 健也を発見した。
クラスというより学校全体で、と言った方が正しいだろう。

自分と同じ紫色の独特の髪型にヘッドフォンをしている後姿に思いっきり飛びついた。

「おっはよー!健也ー!」

「おはよ、藍莉」

あたしの行動を読んでいたかのように平然とあたしを受け止める健也。

「…おぉ…慣れたね」

「まぁ、ほぼ毎日だから」

「むぅ……ちょっと改良しようかな」

「どう改良するんだよ」

「ちょっと回転つけてみるとか!」

「…どうやって回転つけるの」

朝から意味不明な会話を繰り広げながら教室まで歩く。
教室に着いてからも飛びつき方の改良方法について話していた。



「こんにちわー!おかず分けてー!」

「あら、飛鷹さん!生ハム食べるかしら?」

「あっ、食べます食べます!」

「…何やってんの藍莉?」

「あ、秀一郎だ!おかず貰ってるの。生ハム美味しいよ?」

「僕のお弁当のおかずもあげようか?」

「貰う貰う!」

お昼もいつもと変わらず購買でメロンパンといちごミルクを購入。
その後はいろんなグループを回っておかずを分けてもらった。
流石、みんな金持ちだから高級食材ばっかり入ってる。



「眠……寝よっかなぁ…、あっ!咲山先輩ー!」

「んぁ?…飛鷹か」

「おぉ!名前覚えててくれたんですね!」

「帝国にはお前みたいなやつ一人しか居ねぇからな」

「いいじゃないですか、個性が溢れてて!」

午後の授業は眠かったから屋上でサボった。
前にサボったときに知り合った咲山先輩とまた一緒になったから遊んでもらった。



「健也!健也!ちょっとお願いが…」

「大丈夫だよ、多分交ぜてくれるから」

「え、今ので分かったの?」

「毎日のようにバスケ部の子に声かけてるの見かけてたからね。
ついに顧問に追い出されたの?」

「うん、追い出されたの…」

「暇なら来れば?源田先輩ならOKしてくれると思うよ」

「やった!健也大好き!」

「それは許可されてから言って」

放課後は帰っても暇だから丁度いいところにいた健也に頼んでサッカー部に交ぜてもらった。
咲山先輩がサッカーしてるとこ初めて見た気がする。



○月×日△曜日


学校は何一つ変わらなかった。

ていうか、変わってなくて良かった。

眠…寝よ。




あたしはいつもは長々と書き綴っている日記帳に
かなりの空白を残したままベッドへと倒れこんだ。














---------
日記化したww
日記にする予定はなかったんだけどな…?
あれ?何で日記になったんだ?←
ていうか三行で終わる日記ってどうなんだ・・・。

[ 5/14 ]