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「ちょっと咲山っ…」 「黙れって。バレるぜ」
人通りの少ない薄暗い廊下。後から抱き締めるような形であたしの口を塞ぐ咲山。 何故こんなことになっているのかなんて理由は簡単で。
「くっそ…、どこ行きやがったあいつら…!」
少し遠くで響く足音と聞き覚えのある一つの声。 その声は最後に苛立ちの込められた舌打ちを残して去っていった。 遠くなる足音に咲山は安堵の溜息を零した。
「やっと行ったか、…しつこい奴」 「…咲山のせいでこうなってるんだけどね」 「お前も共犯だろ」 一際、静かになった廊下で交わす言葉はよく響く。 マスクの下に貼り付けた笑みを隠す様に、咲山は手で自分の口元を覆った。
「…で、これからどうするの?」 「どうって…、ゲーセンでも行くか」 「え、ほんとに外行くの?」 「は、行かねぇの?」
私はどうやら咲山をナメていたらしい。
サボり魔とサボろう!
(この不良、!) (じゃあ、お前も不良デビューだな)
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