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腕に重みを感じて目が覚めた。
ここはどこだ、そう思った瞬間にここが保健室であることを察した。
なんでこんな処に居るんだ。確か、咲山と屋上で話してて麗亜が来て、…あぁ、俺倒れたのか。
なんとなく状況は飲み込めた。
ふと思い出したのは腕の重み。
なんなんだ、と起きあがれば俺の腕に自らの手を重ねてそのまま頭を垂れて眠りに落ちたらしい麗亜の姿。


「…麗亜、?」


呼びかけても規則正しい寝息が聞こえるだけで目覚めはしなかった。
こいつ一人で俺を運んだのだろうか。
…いや、あの場には咲山も居たんだ、そんなはずはないか。
しかし保健室内に咲山の姿は見当たらなかった。


「…麗亜、おい」


肩を揺すっても麗亜が起きる気配はない。
だが、こいつが目覚めなければ俺も身動きがとれない。
麗亜の手が俺の腕をしっかりと掴んでいるからだ。
仕方なく麗亜はそのまま寝かせておいて、俺ももうひと眠りすることにした。
起こしていた身を再び倒して瞼を閉じる。
ガラリと保健室のドアが開く音がしたが、一度閉じた瞼を開くことは出来なかった。




き っ と 正 夢


(飛んでいった意識の中で、そんなリアルな夢を見た)

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