高く、高く、浮き上がるような気持ちを知った。
秋晴れの空を見上げながら、時折吹く風に物寂しさを感じる。

「腹減った……」
「またですか。もうすぐ家なんですから我慢してください」
「家って言ったってオレの家だろーが、まったくもうみたいな顔してんじゃねーよ」
「はいはい」

明日は土曜日。他の部活が体育館を使うという関係で明日の練習は午後からになった。
金曜日の部活終わり、明日は午後練習。なかなかの好条件だ。

「気持ちいい季節になりましたね」

ふと立ち止まった黒子が、しゃがみこんで何かを拾っている。

「まだ昼間は暑いときもあるけどな。ていうか、何拾ってんだよ」
「これです」

黒子の掌にあったのは小粒のどんぐりだった。
秋ですね、と黒子が静かに笑った。


明日も晴れるといいですね。
そうだな。あ、夕飯何がいい?
君の料理はどれも美味しいので、お任せします。
誉めたって何も出ねぇぞ!
嬉しそうな顔してるじゃないですか。


真夏よりも早い日の沈み具合だけれど、二人の歩幅は変わらない。
いつも通りバスケして、バスケして、バスケして。
変わらない日常が何よりの幸せ。
なんてことはない、だけどとても心地いい。
ふわりと吹いた風の方向に目を遣ると、オレンジの空が広がっていた。


空にとける
(ああ、しあわせだ)





20131011.Hapyy Kakuro Day!!
風華香夜

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