「おぉー……。流石関東大会、規模が段違いやな」



現在、私は関東大会が開催されている、とあるテニスコートにやって来ている。
その付き添いにはお父さんが一緒に来てくれた。私は一人でも大丈夫ってしつこいくらいに念を押したんだけど、向こうは向こうで絶対ついてくるって譲らずに、話し合いは平行線を辿った。んで、結局私の方が先に折れてしまい、お父さんについてきてもらったという訳。
ちなみに友香里ちゃんとお母さんは二人で東京観光に行ってもらった。今頃、二人は某夢の国で楽しんでることだろう。



「蔵ノ介はホンマ、テニスが好きなんやなぁ」


珍しくテンションを上げておおはしゃぎする私に、お父さんが少し呆れた顔で話しかけてきた。それに私は笑顔で応える。



「おん、もちろん大好きやで!」


テニスが好きかって、そりゃもう大好きに決まってますよ!なんだかんだで、テニスを愛してかれこれもう数十年。そもそも、好きじゃなきゃわざわざ東京まで来て大会を観戦しようなんて思わないだろうし。

――あ、そういえば。



「ちょっとトーナメント表見てきてもええかな?どうしても見ときたい学校があんねん」


私としたことが、トーナメント表見るのを忘れてたよ。これを見なきゃ、何時にどこでどの学校の試合があるのかわかんないもんね。
お父さんに一言断った後、私はすぐさまトーナメント表が貼ってある本部前までやってきた。
えーっと、私が見たいのは青学と立海と氷帝だから……って、氷帝と青学が準決勝、勝った方が続けて立海と試合じゃないか。しかも、ちょうど今から氷帝と青学の準決勝が始まるらしい。急いで移動さなくては!


「おとん!走るで!」

「えっ?」


私はのんびりと突っ立ってるお父さんの手を引いて、青学と氷帝の試合が行われるコートへ走った。


……今から良い場所とれるかなぁ。


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