7月に入り、じめじめした空気から一転して次第に晴れ間が覗き始めた、そんなある日のこと。



――♪〜♪〜♪〜



ようやく夢の中に入りつつあった私の意識は、突如夜中にかかって来た電話の着信音によって現実に引き戻された。眠たい目を擦りながら出てみれば、電話越しに聞こえて来たのは能天気な謙也の声。



「しーらーいーしー!明日と明後日オフやろ?どっちかの日暇やったら、一緒に遊びに行かへん?」



電話に耳を傾けながらふと時計に目をやると、針はちょうど午前2時を指していた。

……ちょっと殺意が沸いた。



しかし、そんな怒りを一ミリも表さずに対応するのが大人というものだ。精神年齢三十路越えをなめるなよ!



「……あー、すまんなぁ。俺、明日から家族旅行やねん」


「えっ?」


すっとんきょうな声をあげる謙也に、私は追い討ちをかけるかのようにして。


「ほなまた、月曜日に」


「えっ?ちょっ――」



そう言って、すぐさま電話を切った。

しかし、これは別に謙也を邪険にした訳ではなく、実際に明日から家族旅行で朝が早いためだ。そこのところ、勘違いしないようにね!











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