その日は何の変わりもない、いつも通りの平凡な一日だった。

いつもと同じ時間に起きて、学校に行き、そして家に帰る。帰り道で少し日差しが強いかなとも感じたけれど、ぽかぽかとした心地良い小春日和。
最も、これからどんどん寒くなるからそろそろコートとマフラーを出さなければいけないだろうけど。


あぁ、そういえば昨日給料日だったから今日は久々に贅沢しようか。

そんなことをふと思って、私は銀行でいくらかのお金を下ろし、そのまま近くのスーパーへと向かう最中だった。



今日は奮発して焼肉かなぁ、なんて。



そんなことをぼんやり考えながら歩いてたせいかどうかは知らない。














―――劈くタイヤの悲鳴と同時に、衝撃。









突如全身を襲った激痛とつんと鼻の奥をつく鉄の臭いに、何が起きたのだろうかなんて考える暇は、当然私にはなく。









宙を舞うふわふわとした無重力の中で、人の最期なんて呆気ないものなのだと考えながら、私はいつの間にか冷たいアスファルトへと叩きつけられていた。







だんだんと冷たくなっていく四肢を横目で見つめながら、やっぱり私死ぬんだなとか、死んだらどうなるんだろうとか、色々なことを淡々と考える。
そこで、案外死ぬ間際というものは余裕があるのだなと最期になって気付く自分がいて、少し可笑しくなって笑った。
そして、そうしている間にも次第と意識は薄れて来て。あんなに痛かった身体は、痛みどころかそこに身体があるという感覚すらなくなってきた。多分、私は助からない。



……もう、なんかどうでも良くなってきた。考えるのすら面倒になってきて、私は静かに意識を閉じる。




……あぁ、最期に一言。











神様の、バカ。









(暗い、暗い闇へ落ちていく)


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