「みんな落ち着けや!……ほな、一人ずつ紹介するでー」 謙也がひとまず場を治め、そのまま強制的にメンバー紹介が始まってしまった。どうやらこれは強制イベントらしい。 「ウチは金色小春、小春ちゃんなりはるにゃんなり、好きに呼んでや〜」 「アホか!誰がそないな呼び方で呼ぶかっちゅーねん!」 「もうっ、忍足君ったら相変わらずキレの良い突っ込みやねぇ! ……あ、白石君。蔵リンって呼んでもえぇ?」 「……謹んで遠慮させて貰うわ」 「あぁん、いけずぅ!」 とりあえず、小春は一年の時から小春だったみたいだ。 生小春……、思ってたよりも強烈だ。 「次は俺やな!俺は一氏ユウジ、よろしく頼むわ」 「おん、こちらこそよろしく頼むで、一氏君」 「あぁー、固い固い。呼び捨てで構わへんて」 「……ほな、一氏。よろしくな」 「おん!」 へぇ、この頃はまだ小春命じゃないんだ。正直、ユウジってあれでキャラ立ててるとこあったから、何だか物足りない感じがする。 ……ちょっと失礼だったかな。 「最後に俺やな。俺は小石川健二郎や。俺も呼び捨てでえぇで。よろしゅうな」 「おん。よろしく頼むな、小石川」 うん。小石川は安定の小石川だった。 ……え?何が安定かはあえて言わないよ? 「さて、一通りこっちの紹介も出来たし、次は白石番やで」 「……えっ。あぁ、せやな」 ……あれ、銀さんは?もしかして修行中か何かかな?まぁ誰も何も言わないんだし、そういうことにしておこう。 えっと、それよりも自己紹介か。とはいえ、紹介することなんて何もないんだけどなぁ。 「俺は白石蔵ノ介や。みんな、よろしゅう頼むで」 まぁ、こんなもんでいいよね。 こんな適当な挨拶でも、みんなはよろしくって返してくれた。良い子ばかりで嬉しいな。 「おっしゃ、白石も加わって益々盛り上がって来たでー!目指せ全国や!」 全国って……まだ早いんじゃ。私達まだ一年なんだし。 「……あ、せや。白石、」 「んっ?」 「……Aコートへよう来たな!おめでとさんっ」 「……おん!」 Aコート。 またの名を、レギュラーコート。レギュラー及びその補欠となりうる人材の育成を目的とする場所だ。 ここから、また始めよう。私のテニスを。 (仲間との出会い) |