そんなことを考えながらふと横目でコートの方を見ると、経験者組の一年生が楽しそうにラリーをしていた。 また、そうしたラリーしつつもしっかりと笑いをとりにいくのは、流石四天宝寺といったところか。 ……なにあれ、スッゴく楽しそうなんだけど。 つーか、いよいよあの中に混ざれる気がしなくなってきた。 テニスしながらギャグも飛ばすとか。そんな余裕、私にはないっての。 ほんまどないしよー、なんてちょっと大阪弁を交えながらぼやいてはみるも、だんだん本気で焦ってきた、その時。 「初心者組ー。ちょっと集まりぃ」 突然かかる監督からの集合。 なんかやらかしたっけ?などと呑気に考えてたら、監督はすっと部室の方を指差して。 「……一週間、よぉ耐えてきたな。今日から素振り開始や」 そう言って、ニヤッと笑った。 ……そういえば、始め一週間は体験入部って言ってたっけ。つまり、簡単に辞められるこの一週間に、私たちはふるいにかけられてたってこと。 何がともあれ、ようやく私はスタートラインに立てた訳だ。 ようやく、テニスらしくなってきたね。 それじゃ、まずはラケットを取りにいこうか。 (さぁ、頑張って追いかけよう) |