小説 | ナノ


 人魚姫



あぁ、空が遠ざかっていく…
体が泡となって消えていく…
ただ貴方を愛しただけなのに、どうしてこうなってしまったのか。

貴方の思い出が走馬燈となって蘇る。
あぁ、なんて愛おしい…












-消えていく人魚姫の刹那の夢-





「名前様!名前様!そろそろ戻りませんと!」
女中の友が、お城に戻ろうと私を急かす。
「友ー!あとちょっとだけ!ね、お願い!」
私達は人魚の禁忌を破って陸に近づいている。
「名前様!お父様にばれでもしたら!」
そう、陸に近づいているがばれたら私達は殺されてしまうかもしれない。
でも、帰りたくない。まだあの人に会えてない。
この前の満月の夜。
私は、浜辺で月を見ていた。
そこで私は人間を見た。男だった。
人間を見るのは二度目だった。
彼はとても美しくて、見惚れてしまった。
彼は月を眺めていて、私には気付かなかった。
人間に接触してはいけない。
しかし私は彼に話しかけてしまった。
「綺麗な月ですね。」
彼は驚いて周りを見回した。
「貴様は何者だ?」
なんと答えればいいのかわからずそのまま海深く潜ってしまった。
あの日から私は彼のことしか考えられなくなった。
そして次の満月、また彼に会えるかなと陸に近づいたのだ。
でも彼はこなかった。
「名前様!もう帰りましょう!」
友に諭されて私は帰ろうとした。
その時、彼は現れたのだ。
そして彼から話しかけてきた。
「おい…居るならでてこい。」
私の心臓の鼓動が早くなる。
顔を出そうとした瞬間、友が私の腕をひっぱり首をふった。
私はそれにしたがっておとなしくしていた。
「貴様は人魚だろう?」
海に向かってポツリと話しかける彼。
私は胸が締め付けられた。
「この前姿を見たのだ。貴様は私が幼い頃助けられた人魚によく似ている。
礼を言いたい。出て来い。」
私は小さい頃溺れていた人間の男の子を助けたことがあった。
でていこうとする私を友が海の底へと引っ張っていった。

それから毎日憂鬱だった。
あんなに近くにいて彼も私と会いたがっているのに、私が人魚であるために会うことができない。
人間になりたい。
そんな気持ちが私の中で膨らんでいった。

ある日、私は決心をして海の魔女に会いにいくことにした。
彼女なら私を人間にできる。
怪しい雰囲気の洞窟で、入るのが躊躇われたが勇気をだした。魔女の魔法の腕は確かだが
高い代償を払わせられることで有名だった。
それでも、彼の隣に立ちたかった。

彼女は私の声と引き換えに足をくれるといった。それから魔法は永遠ではないとも言った。彼から愛されなければ、海の泡になって消えてしまうと…しかも一週間以内に。

私は声と引き換えに足をもらった。
そして彼のいた浜辺にたどりついた。
その日は調度、満月の日だった。
彼はまた現れた。
そして疲れ果てて倒れている私のそばへ来た。私の顔をじっと見つめた後、足へ目をやった。そして彼はたちあがってこういった。
「おい、女。起きろ。」
私は起き上がろうとした。
でもうまく力を入れられなくてよろけた。
すると彼は私を支えてくれ、私の心臓は破裂しそうなほど高鳴った。
「貴様、名はなんという?」
鋭い眼差しで見つめられ顔があつい。
声を出そうとするが魔女に奪われたためでてこない。口をパクパクすると、彼は
「声がでないのか…」
と言った。
私はとても悲しくなった。
やっと会えたのに話すことができないなんて…

いく宛のないことをどうにか伝えると、彼は「なら、私の城に来るがいい。」
といってくれた。

彼のお城で暮らしだして三日目。
彼のことがだんだん分かってきた。
まず石田三成という名前だということ。
そして一国の王子だということ。
私を気に入ってくれたこと。
彼は他人にあまり興味をしめさないらしい。
珍しいことだとお城の女中たちがいっていた。
今日は三成と食事をすることになっていた。
綺麗なドレスを着せられ、部屋に通された。
そこではもう三成が待っていた。
食事をしていると、三成がふいに語りだした。
「貴様は、私を助けた人魚に似ているのだ。
私はその人魚に恋い焦がれてきた。ずっと探してきた。そして最近見つけたのだ。貴様が倒れていた浜辺の近くで。もしかして貴様は
その人魚なのか?」
私はどう反応すればよいかわからなくてただ沈黙していた。
「…やはり、ちがうか…。女…今の話は忘れろ。」
三成は静かにそう言うと部屋をでていってしまった。
私はどうしたらいいのかわからなかった。


私が人間になって6日目
今日のうちに三成に愛してもらわないと私は
泡になってしまう。
愛してもらうというのは、口づけをされることだと魔女はいった。
この前の告白で三成と両想いなのがわかった。でも三成は私は私でないと判断したようだった。

どうしたらいいかわからなくて涙がこぼれてきた。友は心配しているだろうか。
姉様たちは、お父様は…。
海底の城に戻りたいとおもうようになってしまった。



その日の昼、私はショックな話を聞いた。



三成が隣国の姫と婚約したというのだ。
ずっと断り続けていた縁談だったらしい。
お城のなかはその話で持ちきりだった。
そんな中にいるのが辛くて、私はお城をとびだした。



いつもの浜辺で海を眺めていた。

あぁ…私は泡になって消えてしまうんだ…


そんな時海から人影が見えた。
「名前!名前!!」
懐かしい声が聞こえる。
私のお姉様たちだった。

「名前!貴女なんてことを!
全て魔女からきいたわ。
泡になってしまうんでしょう?」

「名前。よく聞いて。
私たち、貴女を人魚に戻すために来たの。
魔女に頼んでこの短剣をつくってもらったの。私たちの髪と引き換えに。」

「今日の夜、その男が寝た後にこの短剣で彼を刺しなさい。そうすれば貴女は人魚に戻れるわ。」

長くて美しかった髪を短く無残なものにされてまでも私を助けようとしてくれている。
帰りたかった。
彼を刺して。
帰ろうと思った。




その夜。
彼の部屋にそっと忍び込む。
右手に握った短剣に力が入る。
彼はとても美しく眠っていた。
短剣を振り上げて彼を刺そうとしたとき、
涙が頬をつたった。
私には無理だった。
こんなに愛していたのか…


声はでないけど、
愛している。幸せになって。とつぶやいて
彼に一方的な口づけをした。





海はいつも以上に穏やかだった。
陽は上り始めている。
私は海に戻った。
私がいるべき場所に。
飛び込むと指の先から泡に変わってゆく。




あぁ空が遠くなってく。
最後に見たのは、










貴方の悲しい顔でした。




















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最後まで読んでいただきありがとうございました!!誤字脱字、日本語間違いなどありましたらぜひ教えてください。何事もなかったかのように直しますんで…
感想もお聞かせくださると嬉しいです。


反省。


〜だった。口調が多いなー(´・_・`)
もっとうまく書きたい!!

三成が寝ちゃった!!
三成のキャラがヤバイっすね
すみませんでした。

処女作でした。
たくさん失敗しました。
もっと書くのがうまくなったらもう一度
挑戦してみたいです。人魚姫の話。




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