どS銀時 | ナノ



ドS銀時

by ゆっち




俺はプレゼントを揺らさないよう静かに、だけどなるべく早く歩いて待ち合わせているホテルに向かった。
空を見上げ、何となしに咳ばらいをした。数週間前、間近に迫った銀時の誕生日の話をしていた時のことを思い出していた。
いつになく誘うような表情でふたりきりで会いたいんだよ、とか甘い声で言われ、舞い上がって高級ホテルのスイートなるものを初めて予約した。
きっともう銀時は部屋で待っているだろう。ふたりきりでって、やっぱりそういうことだろう?背筋が甘い期待でゾクゾクした。
ゴクリと唾を飲み込んで、部屋のドアを開けた。
「……う、わっ!」
部屋に一歩足を踏み入れた途端、何かに引っ掛かり体がぐらりと傾いた。なんとか倒れずには済んだけれど、プレゼントはあっけなく俺の手を離れた。宙を舞った後床にたたき付けられ、この日のために特別に注文したケーキは箱からはみ出し生クリームが飛び散った。
「あーあ、ごめんね。俺ってば足長すぎちゃって」
振り返ると、部屋の入り口に片足をプラプラさせてる銀時が立っていた。なるほどさっき引っ掛かったのはこの足だったのかと納得すると同時に沸々と沸き上がる怒り。
「お前、せっかくのケーキが……」
銀時が1番喜ぶものをやりたくて、考えに考えて選んだケーキ。銀時はその箱をひょいと持ち上げ、中身を覗き込んだ。
「あ、なんとか食えそう。よかった」
それからベッドに腰掛け、「何やってんの土方?早くおいでよ」
何一つ悪びれる様子無く、俺を見てニコリと笑った。膝の上に乗せられた潰れた箱。零れた生クリームを指で掬い、ぺろりと舐めた。
「土方、はやく」
その声に誘われるように、俺はふらふらと銀時に近付いた。目の前に立つ俺を見上げる銀時の口角が、静かにゆっくりと持ち上がる。
「土方も、舐めてよ」
俺の膝辺りを、コツンと蹴る。そのブーツの爪先には、生クリームが散っていた。
俺はその場に膝をつき、ブーツに唇を近づける。そっと舌を伸ばすと甘い味が口の中に広がり、他の感情はどこかに消えた。
「脱がせていいよ」
その言葉に従いブーツを脱がすと、露わになった白い足の指先に、生クリームがポトリと落ちてきた。
「……ここもお願い」
俺を見下ろす銀時が、唇を舐める。俺はそんな銀時を見つめながら、生クリームまみれの足の指を口に含んだ。
ピチャピチャと水音が広い部屋に響き、銀時がはぁ、と息を吐いた。指の間に舌を差し込んで全て舐めとると、今度は太ももに生クリームが落ちる。服の上から舐め、綺麗にすると次は少しずらした足の間。
「脱がしていいか?」
堪らず尋ねると、銀時はくすりと笑って「いいよ」と答えた。

「ひじかた、もっと強く吸って。もっとやらしい音させて」
またポタリと生クリームが落ちる。それは銀時のへその脇を伝い、俺の上唇を濡らした。銀時の要求通りにジュルジュルと音を立てて吸い上げると、口の中に含んだモノがぶるりと震えた。


「生クリームと、どっちが美味しい?」
その質問に、口の中に注ぎ込まれる液体をゴクリと飲み干すことで答える。銀時は楽しそうに声を上げて笑い、ベッドの上で四つん這いになって尻を高く上げた。
「この中も、綺麗にしてくれる?その舌じゃ、届かないとこまで」
溶けた生クリームが、太ももの内側をトロトロと流れて行く。それを舌で掬い上げ、そのまま尻の割れ目に舌を這わすと、銀時の体が微かに震える。
「……舌じゃダメだって言ってるだろ?」
振り向いて怪しく微笑んだ銀時の体に覆い被さり、体を繋げた。肩の辺りに唇を付け舌で触れる。銀時の体はどこもかしこも生クリームよりも甘い。

「ふふ、これじゃまるで、俺がお前の誕生日プレゼントになったみてえ」
そんな途切れ途切れの声が、耳元で聞こえた。


END
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