HANTER×HANTER | ナノ


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「ベ、ティ」









私の、末の妹。









「、……」

「……っ」









ルナの肩口から口を離したその“犬”はボソリと口を動かした。









「オ……姉、ちゃ、ま……」

「ベティ……!」









二重の声が紡いだ言葉には嬉々としたものが含まれており、ルナの胸を締め付けた。




熱くなる目頭を唇を噛む事で堪え、ギュッと“犬”をルナは抱き締める。









「……久しぶり、ベティ」

「お姉ちゃま……会イ、たカった」

「ごめん……会いに、行けなくて」









違う。
会いに行かなかった。









「悪い姉で、ごめん」

「ううん……会エタ、から……イイヨ」









徐々に傷が塞がっていくのを横目に、ルナは“犬”の先にいるディートリッヒに視線を投げた。









「……人体錬成は、禁忌だと知っているな。」

「俺や姉さんに禁忌なんてあって無いようなものだろ?」

「……ベティとスコアに罪は無い筈だ……!」









声を絞り出し、ルナは表情を歪めた。









「スコア……あぁ、犬の名前ってスコアだったね。興味無いから忘れてた。」

「何故合成獣(キメラ)にした!!?ベティとスコアは、関係無いだろう!!」

「ベティは姉さんに会いたがっていた。」

「っ!?」









綺麗な微笑を浮かべ、ディートリッヒは続けた。









「とても姉さんに会いたがっていて、スコアと一緒に姉さんを探しに出た。そこで俺が“保護”してあげて、一緒に姉さんを探していたんだよ。」

「保護だと……っ」

「でもベティは人間、スコアは犬。寿命が必ず来る。寿命が来たら姉さんには会えないから、一緒にしてあげたんだよ。」









バンッ








ルナの銃が空に向かって放たれる。









「黙れ愚弟!!貴様は……」

「姉、チャま。」

「ベティ何を……っ」









半身を起こし銃をディートリッヒに向けたルナをキメラ姿のベアトリーチェが止める。



犬のようにパタパタと尾を振り頭を押し付けるように甘えた。









「ディー、兄チャマ、悪くなイ。ベティ、姉ちゃまの、言いツケ、守らなかった。」

「っ……!」

「アルア、の傍、離れちゃダメ、言われたノに、姉ちゃマに、会いたくて……言いつけ、破っタ」









ポロポロとベアトリーチェの瞳から透明な雫がこぼれ落ちる。



ルナは歯を噛み締めて叫んだ。









「っ、メフィスト!!メフィスト・フェレス!!」









名を呼ぶと同時に黒い靄が一転に集まり人の形を成した。









「お呼びですかな、マイロード(御主人様)」









靄が晴れると白髪にシルクハットを被り、血のような深紅の瞳をした燕尾服姿の容姿端麗の男が姿を現した。










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