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どうして、引き返さなかった。
あの大きな背を。
あの強い瞳を。
あの小さな手を。
どうして、守れなかった。
どうして、引き返せなかった?
それ、はーーー
最終試験が始まって早数時間。
負け続けた最後の一人又は違反した者のみ落ち、ルールも相手を殺したり気絶させるのではなく“参った”を言わせる事が勝利条件のこの試験はゴン、クラピカ、ハンゾー、ヒソカと勝ち上がったがキルアvsギタラクルもといイルミ戦で精神的に追い詰められたキルアが負け、次の試合のボドロを殺害し試験終了となった。
「……イルミ、」
「いくらルナでも身内の話に首を突っ込まないでね。」
「っ……あれじゃキルアが……!」
「可哀想?大丈夫だよ、俺らが必要だと言った時に受けさせるからこれで終わりじゃない。」
「そんな事を言ってるんじゃないわ……!」
「……?」
「ルナ、ちょっと落ち着こうか◆」
「……いいわ、直接キルアと話すから。」
最終戦の予定だったルナとDと呼ばれる黒いフードを目深に被った人物は試合をせずに試験合格となった。
しかし。
「…………」
「試合はもう終わりじゃよ。」
「…………」
中央のフィールドで立ち止まったDはまるでルナを待ち構えているように顔を上げずに立ち尽くす。
「……私?」
「…………」
「……そう。」
カツカツとDの反対側に移動したルナはDを睨みつけた。
「ルナや、試合は……」
「ルナ!」
「……貴方でしょう?私をずっと見ていたの。」
「「「!?」」」
Dを指差し苛立たしげにルナは続けた。
「私に何か用?試合がしたいの?」
「…………」
Dはゆっくり頷く仕草をした。
「……会長、」
「……ルナvsD、試合始め!」
「会長!?」
試験官や合格者達が驚きの表情を浮かべながら促したルナと開始宣言したネテロに視線を投じる。
「……合格に変わりは無いがの。」
「なら、殺しても問題ありませんね。」
カチャリ、とホルスターから銃を抜きDへと向ける。
「誰?何故私に付きまとうの?」
「……ぃ……た…………」
「……?」
「……会いたかった…………ルナ…………」
「っ!?」
「ルナ!」
ルナが反応する前にDはルナの懐に入り込み、ルナを抱き締めた。
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