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「もし、」
「ん?」
私の声に振り返る彼。
それが彼との最初の出逢いでした。
少し驚いて後ろを振り返ると白いレースで縁取った黒い日傘を差した、日傘とデザインの似たドレスを身に包んだ女性。
所謂ゴスロリというような服で、ミニスカートとシフォンドレス一体型のデザインのドレスでスラリとした細脚をロングブーツが覆っており前から見えるブーツとスカートの合間の腿が彼女の色気を際立たせている様だった。
それに対し、珍しくメイクを施しておらず黒のジャケットに着崩した白のワイシャツ、黒いジーンズのヒソカは暫く女性を見つめた後思い出したように目を細めて首を傾げた。
「ボク?◆」
「貴方以外に誰かいますか?」
此処は全く人気の無い町外れで、今現在もこの道にいるのはヒソカと女性だけだった。
「あぁゴメン◆で、何か?◆」
「道をお尋ねしたいのですが…」
「何処へ?◆」
「ザバン市まではどのように行けば宜しいのですか?」
「◆」
女性の質問に目を丸くしたヒソカはにっこりと一般女性が釘付けになるそうな笑みを向け、口を開いた。
「ボクも丁度向かってたんだ。」
「ホントですか?」
「うんv良かったら一緒に行くかい?◆」
「良いのですか?」
「いいよ◆」
「ありがとうございます。」
ヒソカの気まぐれに嬉しそうに微笑した女性が礼を言うと二人は並んで歩き出した。
「ボクはヒソカ◆キミは?」
「あ、申し遅れました。私はルナといいます。」
「ルナね◆宜しく。」
「宜しくお願いしますわ、ヒソカさん。」
「ヒソカでいいよ、あと敬語も◆」
ザバン市までの付き合いなのだから呼び方や敬語など気にする必要も無いのだが、不思議とルナの話し方に少し違和感を覚えたヒソカはクス、と笑ってそれを許した。
案の定ルナは苦笑する。
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