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各地にある隠れ家のうちの一つに滞在し、バルコニーで作った朝食を食べ終えたルナはモーニングティーを飲んでそっと息をついて微笑んだ。
珍しくいつものドレスではなく白のトップスににデニムの七分シャツ、黒いスキニーパンツというラフなスタイルである。
「…良い天気。」
「ちょっとイルミいつまでいるの?◆」
「ルナって料理出来るんだ。しかも美味いんだね。」
「っていうかそれボクの朝食なんだけど◆」
「そもそもなんでルナの家にヒソカがいるの?」
「それはボクのセリフなんだけど…!
どうやって此処調べたんだいイルミ◆」
「答えになってないよ」
ルナはもう一度紅茶を口に含み、外を見つめた。
「……良い天気ね。」
《…主、止めないのか?》
穏やかな朝を邪魔されたくなく騒ぐ二人を徹底的に背景にしていたルナは傍にいた大型犬サイズのマルコシアスの問い掛けに小さくため息をついた。
ちなみにグリフォンの翼はしまってくれている為パッと見は本当に犬や猫のようである。
「…二人ともそれ以上騒ぐなら出てって。」
「ほらイルミ出ていけってさ。ボクとルナの邪魔しないでくれるかい?◆」
「何言ってるのヒソカ。妹の家に押し掛けてきてる出ていくべき男がいるのに帰るわけないでしょ。ヒソカこそ出ていけば?」
「ルナはそもそも君の妹じゃないでしょ◆」
「…はぁ。」
《………すまぬ、主。》
言い合いを止めない二人に本日何度目かと知れないため息をついて、ルナは紅茶を飲み干した。
ヒートアップした二人を見て申し訳なさそうに呟いたマルコシアスを撫でる。
「良いわ。心配してくれてありがとう。」
《…主、今日はどうするんだ?》
「そうね…」
傍に置いていたノートパソコンを開き、カチカチとマウスを叩く。
「…これといった依頼は無いし、そろそろ行こうかしら。」
《…クロノス…いや、ゾルディック家か?》
「えぇ。ゴン達もそろそろパドキアに着いてる頃だと思うから。
久々に住人が帰ってきたのに騒がしいって苦情が来たら申し訳無いしね。」
半分冗談で呟いたがどこか怒りを滲ませているのをマルコシアスはひしひしと感じていた。
相変わらず言い合いを続ける二人の視界の端でゆっくりと絶で気配を断ちマルコシアスと共にルナはバルコニーから飛び降りた。
高さ10階程の部屋から硬を使い静かに着地する。
戸締まりをしていないが、しっかり者のバアルが二人が出ていったタイミングで戸締まりしてくれるだろう。
「パドキアに着いたら買い物しようかしら。」
《欲しい物でもあるのか?》
「いいえ。でも急いではないし、服でも見に行こうかな。」
町中に着く頃にはマルコシアスを変化させ犬の姿で隣を歩かせる。
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