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《さぁ、いよいよです!!》
わぁわぁと盛り上がる会場の中、ルナはキルアの隣に座っていた。
「でも、良かったのか?
別に余っただけだからルナならチケットやるよ?」
「ううん、まさかこんなに早くチケット売れてるって思わなかったのよ。
倍の値で買い取るからお菓子でも買いなさいな。」
ゴンとキルアが会場に向かっているとウィングにゴンが注意を受けてキルアが一人会場に行こうとしているのを目撃したルナはキルアを呼び止めてチケットを譲ってもったのだ。
「ルナはカストロの事知ってる?」
「一度返り討ちにして以来私のストーカーになってる事くらいなら知ってるわ」
「まじかよ…」
小さくため息をつくルナにキルアが同情の眼差しを向ける。
「まぁ返り討ちにしたのも彼がまだ念を覚える前だけどね。
今はどうか知らないわ。」
「そんな前なのか?」
「多分、貴方がここに放り出された時だったんじゃないかしら。」
あぁ…そういやあの時ついて来てたな、とキルアが思い出しながら呟く横で、ルナはリング上のヒソカと目が合う。
小さく笑みを向けてひらひらと手を振るとヒソカの向かいに立っていたカストロの纏う気が微かに乱れた。
「…なんかカストロのやつ、すっげぇやる気出してねぇか?」
「ヒソカに勝って、彼に騙されているらしい囚われの私を救い出すんだそうよ」
「はぁ?
お前ヒソカに術とかかけられてんの?」
「まさか。カストロが勝手に豪語しているだけよ。
第一、昔の魔族が多かった時代ならともかく今の時代に私に催眠術なんてかけられる人間なんていないわ。
術じゃないにしても、見る目も養ってきたつもりだからそうそう騙されないしね。」
ヒソカとカストロが何やら話しているようだが流石に客席までは聞こえず、やがて審判から開始の合図が響いた。
それと同時にカストロが走り出す。
「…ん…?」
ヒソカとカストロを見ながらルナはヒソカに攻撃を仕掛けに行くカストロにふと違和感を覚えた。
直後、その攻撃を避けた筈のヒソカがカストロの攻撃がヒットし体勢を崩す。
「!」
「!!?」
ルナは目を見開くがキルアはカストロがヒソカにクリーンヒットを入れた事に余程驚いたのか立ち上がりかけた。
「(瞬間移動…じゃ、ない。)」
先程己が相手したセイジと似ている気がするものの、一瞬でヒソカの間合いに入ったように見えたが何かが違う。
いかんせん、少しイラついてしまった為セイジの能力がはっきりと分かる前に殺してしまったので結局あの瞬間移動のトリックが分からないままだった。
速さ、と言ってはいたが虚言の可能性は否めない。
カストロと同じとは限らないがヒントくらいにはなっただろうに。
心置きなく殺した事をルナはちょっとだけ後悔した。
「なんだ…今の。錯覚か…?」
「違うと思うけど…現時点では何とも。」
ヒソカがゆっくり立ち上げると、何やらカストロと話しているようだ。
やはり何にも聞こえないが恐らくカストロが挑発でもしているのだろう。
やがてカストロが次の一手を打った。
先程のようにヒソカへと走り出し、左手をヒソカの左側から振るう。
「!ダメ、まだ…!」
ルナは小さく呟いた瞬間、カストロの攻撃を回避したヒソカはカストロの左手によって弾き飛ばされた。
そのままヒソカは宙で体勢を変えリングに片手をついてカストロの猛攻を避ける。
体勢を整えたヒソカは左側の攻撃を硬をした左腕で受け止めるが、受け止めた瞬間にはカストロは後ろにいた。
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