HANTER×HANTER | ナノ


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様々な器具がある拷問部屋に銀髪の少年が両手両足を拘束され半裸で吊るされていた。





その痛々しい見た目に反し、子供特有の寝息を立てている少年の前には丸い体型の男が葉巻を加えてムチを持っていた。



彼の兄である男は日頃の運動不足が祟っているのか、眠っている涼しげな少年に反して汗だくである。







その寝顔が気に入らなかったのか葉巻を噛み締めてムチを構えた。









「起きろ!!」









バシィッ








「…ん…。
ああ、兄貴おはよう。今何時?」

「…………」









呑気に起床したキルアの胸に兄・ミルキがくわえていた葉巻を押し付ける。









「いい気になるなよ、キル。」

「あちち、そんなぁ。
オレすげー反省してるよ、ゴメン。
悪かったよ兄貴。」

「嘘つけ!!」









もう一度振るったムチはキルアに当たらなかった。




パシッ









「!?」

「あれ、」

「もうその辺にしたら?」









片手でムチを受け止めたのはルナだった。



初対面のミルキは突如現れた女性に驚いて数歩引き下がる。









「誰だテメェ!!」

「キル、久しぶり。」

「久しぶり!珍しいじゃん、オレ以外の前に出てくるなんて。」

「うん、ここの養女になったの。」

「聞けよ!…って、はぁ?!」

「マジで!!」









とことん無視されるミルキを尻目に嬉しそうなキルアは瞳を輝かせた。

ルナもニコニコと笑いかける。









「うん、さっお父様とお母様に挨拶して来たから次はキルの所に行こうと思って。」

「嘘つくんじゃねぇこの女!!」









ミルキが手に持っているムチを振り上げた。
構える事もなく、避けようともせずルナはそれを見ている









「(さっき私に受け止められたのに、学習しないのかしら)」









ミシッ…バキッ!!

バシィッ









「なっ…」

「ミルキ、こいつに手ぇ出したら殺すぜ?」

「…大丈夫よ、キルア。」









片腕の拘束具を引きちぎりムチを受け止めたキルアの殺気に当てられ動けなくなったミルキをよそに、よしよしとキルアを撫でる。





コンコン









「入るぞ」









ノック音が聴こえ、入ってきたのは“一日一殺”と書かれた服を着た年配の男性だった。




ルナと目が合い、にこやかにルナが一礼する。









「シルバから聞いておる。ルナじゃな。」

「ご挨拶が遅れてすみません、ゼノお祖父様。ルナ=クロノスです。」

「もうクロノスの名乗る必要はなかろう。…もう存在せんのだからな。」

「…そうですね。」









苦笑したルナに1つ頷くとゼノはミルキに向き直る。









「もうその辺にしとけ、ミル」

「でもゼノじいちゃん!こいつ全然反省してないんだぜ!
しかも何なんだよこの女!!」









ヒュッ…









「っっ…!」

「歳上は敬うものでしょ。さっきからこの女この女って、貴方が名乗らないから名乗りたくなかっただけで私にはルナという名前があるわ。

さっきもキルアに言った通り、今日からここの養女。貴方のお姉さんになったから。
宜しく、ミルキ。」









静かに空を裂く音が聴こえたかと思った瞬間、ミルキの顔にルナのナイフがヒヤリと当てられる。









「(み…見えなかった…!)」

「うむ、見事じゃ。」

「早ぇぇ!もっかい!もっかいやって!」

「もう終わり。」

「ちぇっ、ケチ!」

「また今度。」









ナイフをしまい、ルナはキルアの拘束具を外してやる。









「む?キルアと顔見知りか?」

「…ふふ、それは後程お父様からお聞き下さい。今から話しますから。」

「おぉ、そうだった。キル、シルバが呼んどるからな。」

「親父が?…わかった。」

「ではお祖父様、ミルキ。失礼します。」









元々キルアを迎えに来たルナはゼノとミルキに向かって一礼してキルアと部屋を去った。









「何なんだよアイツ!」

「本人が言ったではないか。今日からお前の姉だ。」

「聞いてないよ!」

「イルがハンター試験で知り合ったそうじゃ。お前にはまた話すが、ゾルディック家と深い関わりがあってな。イルやシルバ達が気に入って養女に、と。」

「兄貴の嫁でもいいじゃん!」

「イルにも本人にもその気が無いのじゃろ。」









横で喚くミルキを聞き流しながらゼノは先程初対面した新しい孫娘を思い出した。










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