少年陰陽師 | ナノ


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かたん、と。





物音のした背後に首を巡らせると自室の入口に手をついてしゃがみ込んだ癒月の姿を捉えた。






「鶴夜……っ!?」

「……あぁ、紅蓮……ごめんね、大丈夫だから……」






白い物の怪の姿をした騰蛇は血の気の無い癒月に駆け寄って顔を覗き込む。



へら……と力なく微笑するもその声には明らかに疲労が滲み出ていた。






「お前の大丈夫は宛にならんって言ったばかりだろう!

何をしている!!」

「声、大きい……」

「っ、」






眉間に皺を寄せた騰蛇は癒月の部屋に入り本性に戻ると部屋から癒月を引き寄せた。




ちなみについ最近晴明と癒月がこの部屋のみ神気などの気を抑える二重の結界を施したばかりなので、騰蛇が本性に戻ってもその強すぎる神気は殆ど室外に洩れる事は無い。







「何をしていた!」

「……敵わないなぁ……」






そこまでして聞きたいのかと己を抱き寄せる愛しの神将に微苦笑して、癒月は口を開いた。







「月読の仕事を、此処から少し。」

「月読の……?」

「うん。ほら、あたし守護とか以外に一応農耕と漁猟(の歴)も司るから……あんまり出られないから、此処から少しだけ……」






ちょっとしかやってないんだけどね、と微苦笑を深くさせた癒月はトン、と騰蛇の胸に身体を預ける。






「殆ど休んでないんだ、無理するな……」

「でも……」

「でもも何でも無い、……寝るのが嫌なら大人しくしていろ……」






ここ最近、癒月は寝てもすぐ目を覚ましてしまい、満足に睡眠を得ていなかった。


此処で無理に寝ろと言わないのは以前の夢見の質の悪さを知っているからだろう。





いくら夢でも彼女が凌辱されるとあっては気が狂いそうだったし、癒月自身もそうだった。






ほんの少し疲れただけだから、と呟いて癒月は騰蛇に擦り寄った。



その仕草に騰蛇は微笑する。







「珍しいな、甘えたか?」

「紅蓮が甘えさせてくれるから」

「俺はいつだって良いんだぞ、お前が望むなら。」






そう囁いて、騰蛇は癒月を一層強く抱き締め首筋に顔を埋めた。











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