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「姫様!」
「お姫ー!」
「姫!」
昌浩、騰蛇が出たあと勾陣・太裳と話しながら裁縫に勤しんでいると塀の方から声がかかる。
つい、と癒月が塀の方に首を巡らせた。
「!
千里!已和!朱凰!」
「此処いれてー!」
「入れないー!」
「ちょっと待って!」
塀で騒ぐ三人に待ったを掛け、庭に出ようとする癒月を勾陣が引き留めた。
「癒月、」
「月神に使える月将で、私につく予定だった残りの三人だよ。」
にこ、と笑って勾陣に答えると癒月は庭に出ようとするのをやめ三人を招き入れた。
「姫の気配分かりづらい…探すの大変だったー!」
「ごめんね…?
あ、ホラ三人共。二人に御挨拶!」
「あ!神将様!」
今気付いたのか、と思うも癒月は口にはせず、姿勢を正した三人はピシッと伸ばした手を頭にやり敬礼しながら口を開いた。
「お初にお目にかか「初めまし「已和です!初め」」」
「こら!言うなら順良く言え!
何て言ってるか分からないだろ!」
「あら、時。」
揃わない三人が同時に口を開くと気配を感じ取ってやってきた時矢が叱咤して止め、小さく嘆息して勾陣と太裳に向き直る。
「申し訳ありません、御二方…
左から千里、朱凰、已和です。」
「クスクス…」
「…楽しい方達ですね。」
小さく笑う二人に苦笑いし、癒月は時矢に三人を祖父の元へお連れするよう指示した。
「時、お爺様の元へ三人を御披露目してきて。このまま邸を歩いてたら追い出されちゃうから。」
「御意。」
「せ、千里…!」
「どうしよう已和…晴明様にお会いするのに私今日薄化粧しかしてない…!」
「私も…」
「「してたのかお前ら。」」
コソコソと話す已和と千里に朱凰と時矢が同時にツッコミながら四人はその場を後にした。
「ごめんね騒がしくて。」
「いや、面白かった。仲が良いんだな。」
「我々ではあぁいった会話は無いですからね。」
「皆が皆、というわけでは無いんだけどね…」
苦笑しながら話す癒月に二人が同時に視線を投げかけると、癒月は更に苦笑した。
「んー、まぁ天一と朱雀みたいに恋人同士の子らも居れば紅蓮や青龍みたいに犬猿の仲の子らも居るって事。」
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