少年陰陽師 | ナノ


▼ 
(1/4)











見ツケタ







僕ノ可愛イ妻








其処カラ逃ゲラレナイノ…?








怖ガラナイデ








僕ガ其処カラ助ケテアゲル



















「……………っ!!」






眠っていた癒月は、はっと目を覚ます。
冷や汗が伝い、呼吸も荒く心臓が早鐘を打っていた。



空気を入れ換えるため戸を少しだけ開けるとまだ夜中で、寅の刻はいっていないように思える。






「はぁっ…はぁ…」






身体はカタカタと小刻みに震え呼吸は落ち着くことも知らず、寧ろ癒月に不安感を与えていく。



ポロ…ポロ‥と涙が伝うのも気にせず癒月は呟いた。






「ぐ、れん……ぐれん…紅蓮っ」






目を瞑って落ち着かせるように必死に呟いていると、背中からふわり、と温かい体温を感じた。






「ぐれん…?」

「あぁ…。」






神気を抑えた状態で本性の姿を見せた騰蛇は癒月を抱き締めて子をあやすように叩いた。

騰蛇の姿を確認した癒月は体を捩って騰蛇の背に手を回してきつく抱き着く。






「どうした?」

「…夢を、見たの……」

「夢?」






頷いた癒月は虚ろな目をしており、震える声で小さく言った。






「…誰かが、遠くでずっとあたしを見てて‥そのあと何処かに無理矢理連れてかれて、そこに閉じ込められて…それから…っ」

「っ………」






恐ろしくて言えないのか真っ青でカタカタ震える癒月は固く口を閉じる。
その先の事を言わずとも知れた騰蛇の目付きが変わった。



が、何も言わずに癒月を抱き締める腕に力を込める。






「こわい、こわい…」

「…大丈夫だ、俺がいる」

「っ……」






暫く騰蛇に抱き着いたまま声を殺して泣いていた癒月はそのまま泣き疲れて眠りに落ちた。


茵に横たわらせて少し離れようとした騰蛇はクンッと引っ張られる感触に疑問符を浮かべる。






「……………?」






見れば首に掛かっている絹布を癒月が弱々しく握っていた。




まるで騰蛇にすがるように。




簡単にその手を解く事も出来たが、騰蛇はそのままにして癒月が起きるまでは寝ようと癒月の傍に横になった。










prev / next


[ back to top ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -