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「三階は映画館だったんだ…」
黒曜ランドの中を歩き回り、奥の部屋をそっとツナ、リボーン、ビアンキが開けて入ると奥のソファに座る人物にツナは見覚えがあった。
「!」
「また会えてうれしいですよ」
「あぁ!!君は!!」
骸の正体に気付いていないツナは歩み寄りながら声をかけた。
「もしかしてここに捕まってんの!?
あ、この人はさっき森で会った黒曜生の人なんだよ」
「………!」
ツナの話を聞きながら、リボーンは骸の膝で眠る少女を見つけた。
「ゆっくりしていってください。君とは永い付き合いになる。
ボンゴレ10代目」
「え?なんでオレがボンゴレって…?」
「ちがうわツナ!
こいつ……!」
ビアンキが声を上げると骸は口端を吊り上げた。
「そう、僕が本物の六道骸です。」
「な…はぁー!!?」
「霧兎がいるあたり、確かみてーだな」
「え…あっ!!」
霧兎に気付いたツナを横目にリボーンは淡々と呟く。
それが聞こえたのか骸はニコッと笑みを浮かべてリボーンを見やった。
「僕と彼女の関係を知っているようですね」
「まぁな。
つーかイタリアンマフィアで霧兎の関係者なら殆ど知ってるぞ」
「おやおや、僕も有名になったものですね。」
骸はクスクスと笑いながら霧兎の髪を鋤いた。
そして急にバタン、とドアの閉まる音が聞こえツナ達が振り返るとそこには見覚えのある少年が立っていた。
「フゥ太!」
「お…驚かすなよ」
「無事みたいね」
一安心して声をかけながら駆け寄る二人を見て骸は意味深に小さな笑みを浮かべてその光景を見ていた。
「あの後随分探したんだぞ。」
「危険だから下がってなさい。」
ツナの言葉に続けるようにビアンキがフゥ太を下がらせようとした。
その時。
「フゥ…」
ドッ…
フゥ太が隠し持っていた三叉槍の先でビアンキの腹部を深く刺す。
ツナは目を見開いてビアンキが血を吐きその場に崩れるのを確認した。
「ビアンキ!」
骸はそれを予知していたように笑みを少し深めた。
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突如現れた犬に胸元を爪で刺された獄寺はヨタヨタとよろめきながら後ろに下がっていった。
千種は犬を見て口を開いた。
「無事だったの?」
「死ぬかと思ったけどね。」
そして犬は獄寺を見ながら面白そうに笑った。
「ヒャハハハ、ザマーみろ。
バーカ」
それを聞いているのかいないのか、獄寺はフラついて倒れた場所は丁度カーテンで閉められている地下だった。
段差に足を取られた獄寺は体制を保てずにそのままズダダダ…と階段を落ちていった。
ぶっざまー♪、と言いながら犬と千種が見下ろす中で獄寺はぼんやりと空を見つめていた。
「(体が……動かねぇ…)」
そう思った時、見覚えのある黄色い鳥が飛んでくるのが見えた。
「ヤラレタ!ヤラレタ!」
「(くそぅ…ヘンタイヤローの鳥まであざ笑ってやがる。
何が十代目の右腕だ…
何の役にも立っちゃいねえじゃねーか…くそっ…
くそっ……!)」
悔しそうに顔を歪める獄寺の耳に先程の黄色い鳥が聞き覚えのある歌を歌い始めた。
「緑たなびく
並盛のー」
「(………!?)」
「大なく小なく
並がいいー」
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