REBORN!! | ナノ


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伝わらなくていい

だから、

想う事くらいは
赦してください










霧兎が転入してきてから1ヶ月程経ち、霧兎も学校に慣れてきた頃。
ある日の一件がこの事件の幕開けでもあったのかもしれない。

















放課後、ツナ達と話をしている時に放送で雲雀に呼び出された霧兎は不思議に思いながら応接室を訪れた。






「恭弥?俺だけど…」

「入っていいよ」






ノックすると部屋越しから応答され、霧兎は言われた通りに応接室に入った。
奥には窓から差す夕陽に照らされ、腕を組んで校内を見やる雲雀の姿があった。

少し見とれつつも霧兎は口を開く。






「何か仕事?」

「ううん、草食動物と群れてるって聞いたから呼んだだけだよ。
聞きたい事もあるし」






雲雀は窓から離れてソファーに座ると、隣に座るよう霧兎を招いた。


いつもと様子が違うように感じた霧兎は、隣に座ると雲雀を見つめて首を傾げた。






「恭?」

「ーー…霧兎は、好きな人いるの?」

「っ!?」






雲雀の突然の質問に霧兎は虚をつかれる。






「ぇ、えと……」

「………」

「…ごめん、その質問には…今は答えられない…」

「……そう。」






それから沈黙が続き、何度か口を開きかけた霧兎が漸く話し出す。






「恭は…恭には、そういう人いるの?」

「…いるよ、とても大事な子。」

「っ…」

「いつも元気だし、明るい子。
でもそれは表面上の事で、本当はいろんなモノ抱え込んでる。
誰にも知られないようにいつも元気にしてるんだ。」

「…そ、か…」

「ずっと大事で、群れるのが嫌いな僕が唯一支えたいって思える子なんだよ」

「…うん…。
…、その人も恭の事想ってたらいいね。」

「霧兎?」

「ごめん恭弥…俺、組の仕事もあるし、先に帰るね」

「ちょっと、」






雲雀の返事を待たずして、霧兎は応接室から出て行った。
その時一瞬だけ、雲雀は霧兎の泣きそうな顔を見た気がした。





ーーーーーーーー
ーーーーーー






鞄を肩に下げ、霧兎は右手の甲で口元を隠して泣くのを堪えていた。




「…いるよ、とても大事な子」




その言葉が頭の中に反響して離れない。






「…言ってないのに、フラれたみたいだな俺…」






ハハッ…と自嘲気味に笑った時だった。






「霧兎?」

「…?」






誰かに声をかけられ、後ろを振り向く。
そこに居た少年は霧兎を見て瞠目していた。

霧兎もまた我が目を疑った。






「どう、して…此処に…」

「それは後から話します。
それより…」






少年は駆け寄り霧兎のすぐ目の前に来ると両肩に手を乗せて屈み込んだ。






「何かあったのですか?」

「え?
うぉっ…?」






霧兎が聞き返すと同時に彼は片手の指で霧兎の目許を拭う。










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