REBORN!! | ナノ


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「っ、はっ……はぁ……」






ザァザァと突然の雨に包まれ学校指定とは違う黒いセーラーの制服が重みを増して肌に貼り付く。





霧兎は頬を伝う雫を拭う気力も無く、虚空を見つめたままゆっくりとケータイを耳に当てた。







『霧兎?』

「きょうや……」






たすけて、と。








霧兎の掠れた声を最後に通話は途切れた。

















「霧兎?」

『きょうや……たすけて』







カシャンとケータイが落ちた音と共にバシャッと雨水に倒れる音がケータイ越しに伝わる。






「霧兎?……霧兎!!」






小さく舌打ちして乱雑にケータイを切る。



駐車場にいた雲雀は降りたばかりのバイクに跨がると雨の中霧兎の家にバイクを走らせた。









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「……何か胸騒ぎがするんだ。」

「……マズイな」





ツナの呟きを拾いながら何か端末を見つめていたリボーンも小さく呟いた。
そして顔を上げる。








「リボーン?」

「オレの勘が正しければ……霧兎が危ねぇ。行くぞツナ!」

「あ、おいリボーン!」






霧兎の家に走りながらツナはリボーンに問いかける。





「リボーン!何で霧兎が危ないんだよ!?」

「下手すれば霧兎が……っ、止まれツナ!!」







もうすぐ霧兎の家という所でリボーンがツナを制止すると目の前を黒いバイクが水飛沫を上げて通り過ぎる。



バイクは霧兎の家の前で止まり、ライダーが降りる。






「っ雲雀さん!」

「悪いけど、君に構ってる暇はないんだ。帰って。」





雲雀は門を力ずくで開けようとしながら二人に見向きもせず応えた。






「霧兎に何があった?」

「っ、」

「リボーン!まだ霧兎に何かあったって決まったわけじゃ……」

「電話が、」







簡易扉を蹴破り中に入ろうとして雲雀がリボーンの問いに答えた。






「電話?」

「初めて、“助けて”って霧兎が言ったんだ。」

「……!」







中に入った雲雀に続こうとしたツナをリボーンが引き留める。







「ツナ、お前はここにいろ。」

「でもっ……」

「今は、見るな。」







そう言って、ツナを残してリボーンは雲雀を追った。







雲雀は中庭に向かって走ると雨に打たれながら倒れている霧兎を発見した。






「霧兎!!」







急いで抱き起こすと身体が冷えきっており、どれだけの時間雨に打たれていたか予想出来た。






「霧兎っ、しっかり……!」

「見せてみろ。」

「赤ん坊……」

「少し落ち着け。気を失っているだけだ。」







それより、とリボーンは部屋の中を見た。




つられて部屋に視線を巡らせた雲雀は目を見開く。







部屋いっぱいに広がっている、血、血、血。



転がっているモノは昨日まで霧兎に笑いかけていたーー……






「霧兎じゃねぇな。」

「当たり前でしょ。この子が身内を斬れる程……」

「度胸も実力もねーな。心配するな、疑ってはいねぇよ。」







雲雀はゆっくり霧兎を抱き上げた。







「霧兎は?」

「僕が連れて帰る。……此処には置いていけないからね。」

「……そうか。此処はオレが何とかする、頼んだぞ。」







返事こそ帰って来なかったものの、雲雀は霧兎を連れてその場を後にした。









簡易扉を潜るとソワソワと落ち着きの無い動きのツナがこちらに気付いた。







「雲雀さ……霧兎!」

「五月蝿い。気を失ってるだけだよ。」

「す、すみませんっ……あの、リボーンは……」

「……赤ん坊なら、まだ中にいる。赤ん坊の邪魔をしたくないなら君は此処で待った方が良い。」






言ってやる義理も無かったが、ツナに何かあった時後から霧兎が嘆くのは見たくないと考えた雲雀はツナを残るよう念を押した。







「な……中で何が……」

「……赤ん坊から聞きなよ。」






器用に霧兎を抱えバイクに跨がった雲雀はそれだけを言って来た道を少し飛ばして帰った。










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