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「霧隠れの中忍ってところね」
木に捕えた二人を縄で巻き付けて、六人はその二人を囲いカノトは呟く。
「…こいつらはいかなる犠牲を払っても戦い続ける事で知られる忍だ。」
「なぜ我々の動きを見切れた?」
木に縛り付けてすぐ目を覚ました二人は忌々しげにカカシを睨む。
「数日、雨が降ってないのに水たまりなんてないデショ。」
「…アンタら、それ知っててなんでガキにやらせた?」
「っ、」
「カノトは、おそらく私の意図に気づいていて黙っていたのかと。
同じ上忍とはいえ、私が気付いていると踏んでいたと思いますが上司の私に下手に口出しするのは控えたんでしょう。
何処にいるか知れない敵に聞かれても困りますからね。
第一、私とカノトならこいつらくらい瞬殺できます」
そう。
やろうと思えば瞬殺もできた。
「…盗賊を警戒しているとはいえ何故わざわざ護衛をつける程徹底しているのか、貴方を知り、狙う敵がいるのかと、ずっと気になっていましたから。
あたしでさえ疑問に思っているのに、カカシが気にしていないわけがないから、何か意図があるのかとは思っていました。」
依頼人は命を狙われているのかと。
だが、敵はカノトの予想に反して一番最初にカカシを狙った。
タヅナではなく、カカシを。
だから狙いはカカシだったのかと一瞬だけ気が逸れてしまい、変わり身を使っていると気づいていても激昂してしまった。
「私とカノトには知る必要があったんです。
この敵のターゲットが誰であるのか。」
「…どういう事だ」
「つまり、狙われているのは貴方なのか、はたまた、我々忍のうちの誰かなのか…という事です。」
「少なくともあたしもカカシも、敵が多いですからね。
ーーーあたしは、貴方を守る気でいたからちょっと油断してしまいましたけどね。」
カカシは隣にいるカノトに視線を移した。
「……カノト『も』?」
「伊達に暗部長くないよ。」
「…それはまた後で聞くとして。」
いや聞かなくていい、というカノトの言葉を無視してカカシは続けた。
「我々は、貴方が忍に狙われているなんて聞いていない。
任務内容は、ギャングや盗賊などのただの武装集団からの護衛だったはず。」
「これだと、Bランク以上の任務です。依頼は『橋を作るまでの支援護衛』と我々は認識していましたが。
敵が忍であるならば、必ずBランク以上の高額任務になるはずです。」
「何か訳ありみたいですが、依頼で嘘をつかれると困ります」
「今回のケースは稀ですが、貴方のいう『ガキ』を連れている場合、任務に嘘があればそれだけ彼らを危険に晒してしまうのです。
何のためにクラスを分けて、依頼を振り分けているとお思いですか。」
カカシとカノトの厳しい追及に、タヅナは黙り込んだ。
「これだと、我々の任務外って事になりますね」
「この任務まだ私たちには早いわ、やめましょ!
ナルトの傷口を開いて、毒血を抜くにも麻酔がいるし、里に帰って医者に見せないと」
サクラの訴えに、カカシはナルトを見下ろす。
カノトはナルトの前にしゃがみこんで傷口の状態を見た。
「(まだ血が止まらない…あたしが持ってる物で止血自体は可能だけど毒を抜かないと…)」
「っ!!」
パァンッ
片手でポーチの中を漁ると、ナルトはカノトの手を払い傷のない手で素早く苦無を取った。
「やめて!!ナルト!!!」
ハッとナルトに手を伸ばしたカノトの目の前で、ナルトは苦無を振り上げた。
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