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「今日は砂の風影様へ文書を届けるだけの任務だから比較的難しくないけど、途中何があるか分からない。気を抜かないようにね。」
「「「はい。」」」
とある大きな集落の入り口に立つ、黄色い髪の男性と三人の子供。
集落の名を木ノ葉の里、男の名はミナトと言った。
「…でも、たかが文書を砂に届けるだけでしょう。
確かに油断しちゃいけないとは思うけど、そこまで気負う事も…」
三人のうち、銀髪で顔半分を覆うような口布をした男の子が半分呆れたように言う。
「あ、カカシ!ミナト先生に何て言うんだよ!」
「オビト煩い。」
「ま、まぁまぁ二人共!」
「リン!」
カカシと呼ばれた少年に噛み付くように怒る赤い瞳の少年、オビト。
二人を諌めようとする少女をリンと言った。
そんな三人にクスクスと笑うミナト先生と呼ばれた男性は三人の頭を撫でる。
「カカシの言いたい事も分かるよ。
…でも、最近砂の周辺で小規模だけど紛争が起きてるみたいなんだ。
出来るだけ離れたルートを行くけど、巻き込まれない可能性はゼロじゃない。」
だから、気を引き締めてね。
とミナトは一瞬憂いた表情を見せたのをカカシは見逃さなかった。
それから幸い何事も無く文書を届け終わり、一泊してから帰路についた。
しかし、やがて火の国の国境付近という所で異変を感じ、ミナトは脚を止める。
「……………」
遅れて立ち止まった三人はミナトの様子を窺う。
カカシも異変を感じミナトと同じように辺りを窺った。
「ミナト先生…?」
「しっ…静かに」
ガサッ…
「「!!」」
「カカシ!」
「はい!」
ミナトとカカシは臨戦態勢に入る。
オビトもリンを守るように前に立った。
ガササササッ、ガサッ
現れたのは男女二人組の忍だった。
額宛には氷結晶の見たことが無い模様が入っている。
「誰だ!」
四人の前に立つ二人はミナト達を見て明らかに動揺していた。
よく見ればくノ一の方は何かを大事そうに抱えている。
「っ我らは…」
「シシ!」
男の忍が口を開くと隣のくノ一が諌めた。
しかし、男は首を振って再びミナト達を見つめる。
男は片膝をついた。
「えっ?」
「「「!」」」
「我らは…雪の忍でございます。」
男の言葉にミナトは瞠目した。
「まさかとは思ったけど…でも、雪は滅んだ筈じゃ…」
「!」
「僅かな生き残りです。オレはシシ、こちらは…」
「…コマ、と申します。」
何かを抱えたまま諦めたようにコマと名乗ったくノ一は膝をついた。
「…木の葉の、波風ミナト様とお見受けします。」
「っ先生に何の用だ!!」
「カカシ!」
ミナトを庇うようにカカシが前に出るも、ミナトに止められる。
「三人とも、静かに聴いていて。分かったね。
何故、オレを?」
膝をついている二人に敵意は無いと見なし、警戒を解いたミナトは疑問を投げかける。
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