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「……若?」
いつものようにリクオを迎えに来た紅葉は雪女の氷麗にリクオが問い詰められているのを見て首を傾げた。
「あ、紅葉……」
「どうしたの?」
「聞いて下さい紅葉様!!」
何やら憤慨している氷麗に紅葉は宥めながら話を聞いてやる。
「何?」
「最近他のクラスメイトが立ち上げた清十字怪奇探偵団って集まりに私と若が入れられたんですけど、次の日曜日に本家集合っていうの約束しちゃったんですよ!!」
「何その怪しい団体……」
「しかもそのメンバーの中には最近転入してきた陰陽師がいるんです!!
私達消されちゃいますよ!!」
「陰陽師、?」
歩きながら話を聞いていた紅葉は氷麗の言葉に一瞬立ち止まる。
「紅葉?」
「あ、ううん。……陰陽師……ね。
それで、安倍家?花開院家?藤原家?」
「えっ……えっと、花開院です。
っていうか紅葉様陰陽師知ってるんですか?」
「失礼ね、伊達に長生きしてないわよ。
……昔はもっといたんだけどね。」
まぁその話はまた今度、と話を横に置き紅葉は話を戻した。
「花開院なら大丈夫でしょ。」
「大丈夫じゃないです!さっきだって〜」
呪いの人形を祓っていたゆらに恐怖を感じた氷麗は決定してしまった事項に文句を叩く。
「昔は初代と秀元の家にご飯食べに行ってたりしたものよ。」
「秀元?」
「当時の花開院当主よ。
っても代々受け継がれる名前だから本名じゃないだろうけど。」
陰陽師当主とご飯!?と氷麗が悲鳴を上げそうになっているのを横目にリクオは紅葉を見つめた。
「ごめん、嫌だった?」
「ん?別に若の好きなようになさい。
反対はしないわ。」
「……ありがとう。」
嬉しそうに笑ったリクオに笑い返し、紅葉は二人の話を聞きながら帰路についた。
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