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「これは友達からきいた話なんだけどー
うちの学校って…………
『旧校舎』があるらしいの」
「え…何それ」
「知らない…どこにあるの?」
「そこは…この学校の敷地内にあるのに…誰にも行けない場所」
「そこでは…夜な夜な死霊達が暴れていて、もし…迷い込んでしまったら二度と帰って来れないんだって……」
「うそぉ…でも…それ、本当にあるの?気になる…」
「じゃあ教えてあげる。でも…絶対に近づいちゃ…ダメよ…」
浮世絵町ー「奴良組」本家ー
「で、それの何処がボクのせいって言うんだよ?」
『カラス、言い掛かりにも程があるわよ。』
庭で打ち水をしているリクオとその肩に乗る紅葉は雑誌やケータイを持って問い詰めてくるカラス天狗にうんざりしながら受け答えしていた。
「ですから紅葉様。
こっちの週刊誌には都市伝説、こっちは河童。
そして…インターネッツなるシロモノには「現代妖怪」の情報がズラ〜〜〜リ!
世は………妖怪ブームになっているのです!」
『うん、今聞いた。だから若とどう関係が?』
「そうだよ。」
「どう責任を取るおつもりですか!」
「だから…世間の妖怪ブームが…何でボク?」
パシャ、と水を掛けながらリクオが再度問い掛けた。
カッとカラス天狗が怒り出し、そろそろ噛みつこうかと紅葉は思い始めていた。
「若がいつまでも奴良組を継がずにプラプラしてるから、ザコ妖怪や若い妖怪どもになめられてこーやってシマを荒らされているわけですよー!
かつての快刀乱麻の大活劇、紅葉様も見たでしょう!
あれは何だったのですか!!」
「んなっ……」
『見たけど別に…若が嫌なら強要する事も無いと思うけど』
「だって…あの時は何が何だか分からなくなったんだもん!!
自分が何言ったかも覚えてないし」
カラス天狗の言葉にリクオも怒り始める。
紅葉は呆れながらカラス天狗を見た。
『ほら、』
「そんな無責任な!!
拙者ははっきり覚えてますぞ!!
俺の後ろで群れとなれとか言ってたくせにィ〜〜!」
『アンタが覚えてても若に記憶が無いなら仕方無いでしょ…』
はぁ…と紅葉が溜息をつくと家の中で朝食を摂っていたぬらりひょんがこちらに視線を投げかけてきた。
「おうリクオ、朝っぱらからなーんの話をしとんじゃ」
「じーちゃんが放任主義だから代わりにボクと紅葉が怒られてんの。」
『いい迷惑だわ。』
「仕方なかろう?
ごらんの老体…お前が早く妖怪の総大将を継いでくれねば…わし死ぬな。」
『無銭飲食出来る元気があるなら現役でしょ。』
「嘘つかないで!!昨日も夕方元気に無銭飲食してたの紅葉から聞いてんだから!!」
ゴホゴホと咳き込むぬらりひょんに紅葉とリクオが同時にツッコむ。
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