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入り口周辺はボロボロで煙が立ち、その先は傷一つ無い事から入り口で爆発的な事が起こったのは容易に想像出来た。
入り口の周辺といっても扉からこちらは問題無いし、先の戦闘でヨリの戦いは見たのでおそらく無事だろう。
「ここから先は危険さ。
オレはヨリを追うから二人は街に戻って聞き込み続けてくれさ。」
二人は頷いて街へと戻って行った。
ラビは集中して足音を立てずにゆっくり屋敷の中へと歩みを進める。
正直な所、おそらく無事だと思っていても心配は心配だった。
ましてや、先程自分で自分を傷つけたのは記憶に新しいのだから尚更だ。
本人から約束をしたのだ、無茶はしないと思うが…。
「ラビ!!」
「!」
進んで広い所に出たラビはヨリの声を聞いて顔を上げた。
黒に近い灰色をした翼が視界に入ったかと思えば彼女が両手を伸ばしている。
求められるまま両腕を伸ばすとパシッと両手を掴んでそのまま足が地面から離れた。
「うおっ」
「ちょっと我慢してて」
飛び上がったヨリはラビとは逆になるように、逆さまになった。
ボンッ、とラビのいた場所にアクマのミサイルが爆発する。
ヨリが飛んで来た先からレベル1のアクマが追ってきており、攻撃したのはこのアクマだと思われた。
「ーーーイノセンス第二解放、」
バサッと大きく翼が羽撃くと灰黒の翼は純白の白へと変わる。
「Chama pena(炎の羽根)」
「!?」
逆さまのまま敵を見据えたヨリの言葉に、散った無数の白い羽根がボッと燃え上がりヒュンッとアクマへ飛んでいく。
カカカッとアクマに炎を纏った羽根が刺さった。
「Adeus(さよなら)」
ヨリの言葉の直後、アクマが爆発する。
シン…と静まり返って敵がいないのを確認して、ラビを2階の足場に下ろして自分も傍に降りる。
「大丈夫?」
「大丈夫、ありがと」
ラビは白い翼に視線を移した。
「第二解放すると白くなるんさね」
「第一だけでは攻撃出来無いけど、第二解放で攻撃出来るから」
「そういえば、さっき何語話したんさ?」
「え…?」
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