D.gray-man | ナノ


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何処か上機嫌で荷物を船に運び込むラビを見つめながらこみ上げてきた欠伸を咬み殺したヨリは後に運び込まれる予定の木箱の上にぼんやり座っていた。



明け方まで続いたのだ、同じように体力を使って同じ寝不足の筈なのに何故彼はあんなに元気なのか。






数時間前よりは幾分マシになった腰の鈍い痛みに無視を決め、ラビに強引に巻かれた彼の襟巻きから顔を出すと今朝起きた時にラビが持って来てくれたお握りをもくもくと食べる。


余談だが自分が起きられない事を見越して作ってもらったらしい。







最後の一欠片を口に放り込んでふと空を見上げると、もぞもぞとポケットからゼロが飛び出した。









「……ゼロ?」









いつものように擦り寄ってくる事はなく、東を向いて威嚇するようにカチカチと鳴らしながら牙を剥いているゼロに違和感を覚えたヨリは木箱から降りて船へと向かった。









「ヨリ?腰は大丈夫さ?」









センサーでもついているのだろうか、と思える程素早くヨリを見つけたラビがニコニコとヨリの腰に腕を回す。









「……痛い、けど。さっきよりマシ。

リナは?」

「あぁ、リナリーなら教団に連絡するから妓楼の電話機借りるっつってたぜ。
どした?」

「……ゼロが変。
何か…胸騒ぎがする。」

「…ヨリ?」









ラビはただならぬ空気を纏うヨリの言葉に目を細めた瞬間、メインマストに立っていたアレンの声が響いた。









「皆!!アクマが来ます!!」

「「「「「!!」」」」」









アレンが向く方ーーー東に視線を移すと、夥しい数のアクマの大群がこちらへ向かっていた。









「何て数なの!!」

「オレらの足止めか!?」

「ゼロ、おいで!!」

「迎撃用意、総員武器を持て!!」

「ウゥ、歯が疼く…!!」









言うが早いか、ゼロを引っ掴んでポケットに突っ込む。
この場にいないリナリー以外の5人がイノセンスを構えた。









「「「「(イノセンス、発動!!)」」」」

「イノセンス、発動」









ラビと背中合わせになったヨリはダークエンジェルではなく華蝶風月を構えると、身体を捻ってアクマの大群へと得物を放つ。






ザグッ、ザグザグザグッ!!








ヒュンッとブーメランのように華蝶風月がヨリの手元へ戻って来ると、斬撃を受けたアクマが爆発していく。



少し離れた所ではアレンの連射式銃となった左腕がアクマを破壊していた。









「!?」

「「「「!」」」」

「何だ…?」

「おかしい…」

「何やってんだこいつら…
船を通り越していくさ…!?」

「どうして…」









こちらへ殆ど目もくれず、アクマ達は船を通り過ぎて山の方へと飛んでいく。









「うあっ」

「アレン!!
伸…」

「あー」

「ラビ!!」

「!!」









アクマに連れ去られアレンが船から離れていくのが見え、鎚に跨がりアレンを追いかけようとしたラビをヨリが引き留める。
直後ラビのすぐ側にアクマが降り立った。









「羽衛!!」









バチィッ!!








アクマ達に向かって華蝶風月を投げたヨリが放った札がラビの周りにサークル状の結界を張り巡らせアクマを弾く。









「エクソシストがいるぞ!!」

「何だ?」

「あっスゲ!」

「!」

「人間がいるぞー!!」









後方にいたアクマ達がこちらの存在に気付いたのだろう、次々と地に降りて来る。


そのうちの数体がアニタ達の存在を認識した。










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