「もうすぐ二年になるか」
「そうですねぇ」
夏の暑い日差しを窓からさんさんと浴びながら、俺と呂蒙さんは城の書物室で熱い茶を飲んでいた。
「立派な武人であったなあ」
「当然ですっての。俺の父上ですよ?」
「はは、そうだな。よく酒を飲み交したもんだ」
「そうなんですか?」
「ああ。そう言えば似てるな、酒が弱い所とか…酔ったら性格が逆転する所とかな」
「えっ まじすか」
「マジだ」
あはは、と陽気な笑い声が廊下に漏れる。
父上と呂蒙さんは結構仲が良かったみたいで、昔からこうして父上の話を聞くのが好きなのだ。
「小さい頃の話だが、凌統が碁で父上に勝てない、と泣き付いてきた事があったなあ」
「そ、そんなの覚えてませんって!」
「俺は覚えてるぞ?確か、勝手に邸を飛び出してきたから凌操が怒りながら追いかけてきていた」
「…うー」
「はっはっは!今では甘寧に負けた時でも俺の所に来るしな!」
「でも泣き付いてなんかないですっての!た、確かに呂蒙さん家には行ったかもしれないですけど!」
「そうか?」
「そうですってば!」
赤くなった顔をなんとか誤魔化してはみるものの、軍師の呂蒙さんには全てお見通しで。
笑わないで下さいっての!と軽く睨んでみても効果はあまり無く。
書物室には明るい声ばかりが響いた。
「お、そろそろ陸遜が来る時間だな」
「陸遜が?どうせまた執務さぼってる甘寧を追いかけまわしていますよ、きっと」
「そうだな」
「呂蒙さんまだお茶飲みます?」
「うむ。凌統の淹れる茶は美味いからな」
「有り難う御座います。じゃああと二人分淹れとかなくちゃね」
「ははは、そうだな。息を切らして走り込んでくるだろう」
「そうですねえ。こんな暑いなかよくやりますよ、二人とも」
「まったくだ」
a place in the sun
(あったかくて、きもちいい)
了
和解後のカルテット達(と言っても二人しか出てませんが)のお話。
英語の意味は、(日のあたるばしょ)だそうです。
タイトル バイ 夜風にまたがるニルバーナ様!