03
「少し、お休みになられますか?」
そう問いかけると、雑渡が「ん〜」と緩慢な返事を寄こす。
それから、足の付け根に添え居住いを正していた近江の手を取る。
掴まれた、と言った方が正しいような握られ方に、近江は一瞬きょとんとしたものの別段気にする素振りは無く、空いた手を一振りして蝋燭の炎へと空気を送る。
―――ぽぅ
という音をさせて炎が鎮火する。
その揺らぎに乗って、蝋燭の匂いが辺りを包んだ。
蝋燭のにおいがする
(―――お休みなさい、束の間の休息を)
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