03
「気持ち良い・・・」
ふふっと笑って僕がそう呟くと、にこりと鴻が微笑んだ。
そして、手拭いにかかった僕の前髪を、鴻がゆっくりと左右に分ける。
その指の動きが心地よくて、胸がじんわりと温かくなるのを感じた。
「・・・早く良くならなくちゃね。じゃないと、三郎が心配し過ぎて大変だもんね。」
くすくすと、僕が思わず笑みを零すと「ははっ、違いない。」と鴻が声を出して笑った。
笑って?それが一番の薬だから
(―――僕、この鴻の笑い方の癖、好きだなぁ。)
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