01
笑って?それが一番の薬だから
風邪を引いた。
ここの所、図書委員会では蔵書の入れ替えやら整理やらで忙しく、バタバタしていたからかもしれない。課題や実習などでの寝不足も相俟ってか、久々に寝込む程の風邪だった。
「大丈夫か?雷蔵。」
心配顔の三郎が僕の顔を覗き込む。
「うん、少し熱が高いってだけだから心配ないよ。他は何ともない。」
僕は微笑んでみせるが、熱で朦朧としている為か声が弱々しくなってしまった。
ぎゅっと三郎の眉間に皺が寄る。
「三郎、そんなに覗き込んでいたら雷蔵が眠れないだろ?」
久々知が鉢屋の襟首を掴み、後ろへ引き摺る。
「今勘がおばちゃんにお粥を頼みに行ってくれていて、八が水を汲みに行ってくれているよ。」
近江が手ぬぐいを準備しながら不破に教える。
「皆、ごめんね・・・」
熱を出すと涙腺が弱くなるのか、心配してくれる皆に申し訳なくて鼻の奥がツンとした。
「何を言っているんだ。雷蔵が寝込んだら看病するのは当たり前じゃないか!」
鉢屋がさも当然だとでも言うように不破の額の汗を拭う。
「大丈夫、午前は自習なんだ。」
久々知が安心しろと布団の上からぽんぽんと叩く。
「今これだけ汗が出ているんだ。すぐに良くなるよ。さっき伊作先輩に薬をお願いしておいたから、後で取ってくるからな。」
近江が夜着の換えも枕元に用意してくれる。
「ここは三郎と雷蔵の部屋なんだから、三郎が用意するべきなんじゃないのか?」
久々知が不思議そうに問えば「私は雷蔵が心配でそれ所じゃない。」と、よく分からない返しを鉢屋がした。
「雷蔵にべったりだな〜三郎は。」
近江がくつりと笑う。
「お待ちっ!水汲んで来たぜ!」
バンッと障子を開けて竹谷が登場した。
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