05
「あっ…んぅっ、…あぁ、」
鼻に掛かった甘ったるい嬌声。こんな声が自分から発せられるなんて思いもしなかった。
それに呼応するようにポロポロと涙も溢れた。
その度に近江先輩は優しく拭ってくれ、愛撫を深くしてくれた。
何処を如何したら私が悦ぶのか、何を望んで求めているのかを探っては見つけてくれる。
「せんぱ…っ、もう、あぁっ!!」
敏感な部分に一際大きな波が押し寄せる。全身に甘い痺れが駆け巡り、腰が浮くような感覚がした。
「…そろそろ、大丈夫か?」
私の顔を覗き込み様子を窺う。
じんわりと汗の浮かんだ先輩の双眸が私を見下ろしていた。
はぁはぁ。と、息を整える事もままならず、私はこくりと頷くしか出来なかった。
「同じ痛い思いをさせてしまうのならば…せめて作り物ではなく、人の体温の宿るものでしてやりたいと思っていたのだけれど…ごめんな。」
そう告げる近江先輩の表情は悲痛に歪められていた。
「情けないよな…ごめん。」
ぽつりと呟き、ゆっくりと何度も頭を撫でてくれた。
「そんな事…あり、ありま、せん…っ!!」
悦楽の余韻に呼吸が乱れたまま、強く否定を口にした。
「私、私、本当に近江先輩で良かったです!こんなにも大切にしてくれて、それだけで十分です。作り物でも、それを施してくれるのは紛れもなく先輩なんです。私はその事実だけで、嬉し…い…ふぅ…うえっく、うぅ…」
感極まって泣いてしまった。
もう全部の感情がごちゃまぜで、正しく判断が出来なくなっていた。
ハッキリと自覚出来ている事と言えば、この人を好き。という事。
しゃくりあげ涙を止めようと目を擦る私の手を、やんわりと掴み退かす。
「愛おしい子だね…」
そう言って、涙を舌で舐めとってくれた。
「ふわっ…。あっ」
ぞくりと脊髄を駆ける快楽。そして、空耳かと思った近江先輩の言葉。
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