3.初恋は叶わない、ジンクスさえも憎い
私は御幸が好きなのだろうか?
御幸と話すのは楽しい。
御幸が笑うと胸の奥がキュンとする。
御幸が他の女の子と話しているのを見ると何故か苦しくなる。
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…正直、恋愛についてはよくわからない。
だから、これが本当に恋なのかもよくわからない。
もし、これが恋なら…
.
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初恋だ。
昼休み
数学担当の先生(通称ぶーちゃん)に頼まれ教材を運んでいた。
ぶーちゃんもこれくらい自分でいけばいいのに。
運動しないから生徒からぶーちゃんなんて呼ばれるんだ。
なんて心の中で悪態をつきながら歩く。
ちょうど中庭の横の渡り廊下に来た時。
中庭でキスをする女と男が見えた。
女は美人で有名な先輩。
男は…
御幸だった。
時が止まったように思えた。
…何も聞こえない。
ただキスをする2人を見ていた。
先輩からしているように見えるが、御幸も拒否しない。
受け止めている。
2人は私に気づいていない。
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「翼?」
声にハッとして振り向くとこちらを不思議そうに見ている倉持がいた。
_っ!
ヤバイ…
泣いてしまいそう…
「倉持ごめん!
これ、よろしく!」
「はっ!?ちょっ!
翼!」
私は倉持に教材を預け、さっき来た道を全力で走った。
やっと気づき始めた気持ちは儚くも崩れ散った。
初恋は叶わない、ジンクスさえも憎い
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