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コンビニの帰り道。
野球部のマネージャーの私は先輩から買い出しを頼まれていた。
ちょうどコンビニに用事のあった春っちと並んで歩く。
内心、かなり嬉しい。同じクラスになってからずっと想いを寄せてきた人と並んで歩けるのだから。
「ちょっと寄り道してこうか。」
そんな春っちの提案から、河原の草原に座る。
緊張してしまい、言葉が出てこない。
普通だったら告白する絶好のチャンスなんだろいけど、私にそんな勇気あるはずもなく…
自分が情けなくなる。
「翼ちゃんって好きな人いる?」
「えっ?」
突然の質問に驚き春っちを見るが前を向いたままなので、顔が見えない。
正直に答えるわけにもいかず、黙っていると、
「俺ね、いるんだ。大好きな人が。」
「そう、なんだ…」
泣きそうになり、思わずうつむいた。
失恋…じゃん。
成功すると思っていたわけじゃないけど、それでも本人から聞くと余計辛い。
うつむいた私に気づいていないのか、それとも気づいているけど気にしていないだけなのかわからないけど、春っちは続けた。
「俺の好きな子は、意地っ張りで負けず嫌いで。」
嫌だよ、
「だけど、本当は優しくて照れ屋で
可愛くて。」
聞きたくない。
「俺の好きな人はね…」
聞きたくない
涙が出そうでギュッと目をつむった
その時、
ちゅっ
唇に柔らかい感触がした。
驚き顔をあげると春っちと目があった。
「…翼ちゃん」
「えっ?」
「俺の好きな人は翼ちゃんだよ」
「う…そ…」
「本当だよ。
意地っ張りなところも負けず嫌いなところも、
全部好きだよ。」
春っちは言い終わると自分で言ったくせに真っ赤になってしまった。
「俺と付き合ってください。///」
「はい。///」
帰り道、寄り道
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