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「佐藤〜」

「なに〜?」


ただいま、昼休み。

友達の倉持とランチ中。

そう、“友達”の。


倉持とは一年の時から仲が良くて、よく御幸と三人でいた。

ちなみに御幸はさっき呼び出されていた。
可愛い女の子に。

御幸だからよくあることだ。
性格はムカつくけど、顔はイケメンなわけで…
うん、ムカつく。


「なんで、あいつばっかりモテるんだよ。」

「顔はイケメンだからだよ。
倉持は元ヤンだからね〜。」

「ヒャハッ!お前ムカつく!」


ムカつくのは御幸だ。

…倉持だって充分モテるじゃん。

私の立ち位置はいつも友達。
それ以上でも、それ以下でもない。
きっと、私が倉持のこと好きだなんて誰も思っていないだろう。

この感情がバレれば、今の関係は崩れてしまう。
それだけは嫌だ。
だから私は隠す。
好きという感情を。

…本当はフラれて傷つくのが怖いだけなんだけど。


______


放課後、帰る準備をしていたら御幸が前の席にこちらを向いて座った。


「佐藤はさぁ、倉持のこと好きなんじゃねぇの?」


「はっ?!」


慌てて御幸をみる。

「そ、そんなわけ、ないじゃん!」

「お前動揺しすぎ!」


はっはっはっ!と御幸はいつものように笑った。


「…なんで告白しねぇの?」


御幸は笑うのをやめ、真剣な目で私を見た。


「だって…フラれるのわかってるのに告白なんてできないじゃん…」


そう言うと御幸は、はぁっとため息をつき私を見た。

「なんでフラれるってわかんの?」

「わかるよ。それに、告白しちゃったらきっと今のままではいられなくなる。
結局、私には勇気がないだけだけどね…」


御幸は目を丸くし、もう一度はぁっとため息をついた。


「佐藤はもっと自信持っていいぜ?
大丈夫だよ。うまくいくって。
俺が保証する。だから、気持ち伝えてこいよ。」

な?っと御幸は微笑んだ。

「でも…」

それでも、迷っている私は、相当弱虫だ。


「倉持なら中庭にいるぜ。」

「えっ?」

「ほら、いってこいよ。」


そう言って御幸は私の背中を押した。


「っ!御幸!ありがとう!」


そう言って私は教室を飛び出した。


「ばーか。」

そう御幸が小さく悲しげにつぶやいたのは知らずに。






一歩を踏み出す勇気











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