どうしたって理解できっこない。
俺達違う人間どおしで、求めたって一つにはなれない。
俺は俺の体がどろどろに溶けて跡部の一部になっちゃっても構わないのに。そしたら跡部とずっと一緒にいられるよ、そんな幸せってないさ。
俺は跡部の中で血になり肉になり、跡部が生きていく為のなんかしらの存在になるんだ。
(そして体内で、跡部に果てしなく、愛を、贈る。)
「跡部、俺を壊してよ」
俺という存在を、消して。できないなら閉じ込めて。跡部だけのものになりたいんだ。
跡部の宝石みたいな青い瞳が俺を見つめる。両手で前髪を分けて押さえて、俺だけをどこまでも、ひたすら見詰める。(、溶けちゃいそう。)
「テメェなんか、簡単に壊せんだよ」
でも、壊してやらない、
そう言って跡部が口付けた。深く深く沈むのは意識、体、すべて。
知ってるさ、跡部にできないことなんてないこと。でも跡部はしてくれないんだ。それは意地悪でもなんでもなくて、
(結局、エゴなんだと思う)
“お前は自己中過ぎる。もっと周りを見ろ、考えろ。
お前という個体が何のために存在するのか”
跡部の分からず屋、と俺は最初思った。
でもそのとき跡部の瞳が揺れていたから。抱き締める腕が強く悲鳴を上げていたから。
(そうか、一つになったら、跡部は一人になっちゃうね)
俺は一つがいいと駄々を言う。
跡部は一人がやだと駄々を言う。
俺達どちらも自己中で、どちらもお互いが、必要過ぎるだろう。
でも求めるなら。跡部が、そう。
俺という個体も満更愛しくない。
(20110508)