跡部、こっちは雪が降ったよ。
近年稀にみぬ大雪だった、ってニュースで言ってたらしい(って岳人が)。
俺は寝てて、起きて外見たらもう殆ど溶けちゃってたんだけどね。
家の庭にまだ積もって溶け残ってたちょっとの雪で、雪兎つくった。なつかしいね。あの日は雪が降ったのに、あったかかったよね。でもさ、一般に都心に雪が降る日って実はそんなに気温は下がらないんだって。それに雪ってあったかいらしいもんね、かまくらとか。(あ、跡部かまくらわかる?)
今度つくりたいよね。それぐらい雪、積もらないかな?



(でもその前に、雪より先に、)

(君が、かえってくるかな)






手のひらの上に乗せていた雪兎が、じんわり溶け出していた。
もう幾つ季節を越したか、途方もなく。でも雪なんてもう何年も見てなかったから。ただ久方ぶりに触れれば、それは遥か遠い記憶と、その時間を巡らせ、痛感させた。


(“雪兎みたいだ”と、いとしそうに自分の白い肌を撫でた、優しい手が恋しい)




わかってるんだ。
あの日本当にあったかかったのは、君だ って。






(20110507)
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