世界がきみを待っている。
だからいきなよ。






俺は、天才に憧れた。
天才ってなんでもできると思ってたから。

でも結局、人間で。
何かを得るには相応のものを差し出さなきゃいけない。
俺がボレーで最も憧れてる丸井くんだって、天才に相応する努力をしているんだ。


跡部。跡部もそうなんだね。加えて『氷帝学園を束ねる』プレッシャーをも打ち砕きながら、跡部は闘ってきたんだよね。
俺は跡部の表の部分に勝手に惚れて、バカみたいに追っかけてきただけなんだ。

(それは夢と現実の狭間。
俺の見ていた跡部が色褪せてく。
あんなに眩しかったのに)






「ねぇ跡部」
「んだよ」
「跡部ってフツーだね」
「喧嘩売ってんのか」
「フツーだよ、フツー」



跡部は特別じゃない。
選ばれた人間じゃない。

代わりに特別がんばる。
結果、選ばれる人間。




「フツーに、すごいよ」



でもそれって、実はそうそうできないこと。
だからすごい、すごいことはすごい。
すごい、かっこいい。




「だから、どこにだって行けるさ」



完璧って、実は無能かもしれないね。可能性がないから。そしたらそれは、どこにも行けないことだから。

君は行けるよ。どこまでも飛べるよ。
君の明日は、果てしない希望で満ち溢れている。




「何様だ、アーン?」
「いてっ。…へへへ」
「言われなくてもわかってんだよ」



(だから振り返るな、前へススメ)



そこに俺がいなくたって。




(20110906)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -