俺には幼馴染がいる。どれくらい昔からかというと、生まれた時から…いや、たぶん母親のお腹の中にいる時から顔を合わせていただろう。そう考えれば、俺は今16歳なのに、17年の付き合いという訳がわからない状態になる。
どうしてそんな状態になってしまったのかも説明すると、まず母親同士が幼なじみで、1件家を挟んで隣りの家にお互いの家がある。そしてまあ仲が良くてお互いが結婚したものの、ありえねー話だけどお互いが小学校時代からの友達と結婚。なんと今度はマンションを借りて、家が隣同士になったときたもんだ。極めつけはお互いの長男長女まで同じ学年で生まれたもんだから、家族ぐるみというか家が違うだけの家族みてーな関係になってしまった。嘘みたいな本当の話とはこういうことを言うんだろう。


「は?」


そんな俺等に転機が訪れたのが、高2の春。小中高と当たり前ながら同じ学校に通っていた俺等だったけど、奇跡的に1度も同じクラスになったことはなかった。それが今年の春、高校2年目の春、ついに同じクラスになったのだ。

今日はクラス替え初日。入学式も控えているからか、部活が休みだった。俺は新しいクラスの男子6人でファミレスに来ていた。「伊勢ちゃん俺すげータイプなんだけど!」、今日初めましてをした牧野が発したこの言葉。え、今、まゆこのことタイプって言ったよな?
ちなみにこれは余談だが、俺のクラスの2Aは女の子が大当たりだった。学年中の美女やらかわい子ちゃんやらを集めたんじゃねーかって、1、2年同じクラスで今隣りに座っている風間と一緒にざわついたくらい。周りの男子もざわついていたっけ。でも、本当にそんくらい可愛い子が揃ってる。その中で、男子はクラス替えしたら絶対やってしまう話だけど、誰が一番可愛いかって話になった。まあそれは、いい。1、2、3人と自分の推しの子を上げていく中で、俺の前に順番の回ってきた牧野が、まさかの発言をした。

「いやだから、伊勢ちゃんめっちゃ可愛くね?」
「まゆこ?まじ?」
「えっ、何それ丸井名前呼びなの?」

牧野が驚いて声を上げた。…まゆこは確かに男子と特別仲がいいという女子ではない。むしろ話してる男子って…いるのか?俺が今まで見た中で、まゆこが男子と話しているのは見たことが無かった。そんなまゆこを俺が突然呼び捨てにしたもんだから、きっと牧野は驚いたんだろう。


「あーだめだめ。まゆこちゃんはブン太のだから」
「ええっ?」


そこに風間が降り注いだ爆弾。牧野以外の他の3人も同じような反応をみせている。

「丸井彼女いたの?」
「いねーよ、それは風間が勝手に言ってるだけ」
「強がっちゃって。そんなこと言ってっといい加減まゆこちゃん取られるぞー」

いい加減?誰にだよ。にやにやしている風間を睨むと「おお怖っ」とわざとらしい仕草。うるせーわ!でもまゆこの名前がこんなところで出てくるなんて。誰がって、俺が一番びっくりしてる。


「でも丸井って確か伊勢ちゃんと一緒に登校してんだよな?」
「おー」


「幼馴染だから」。この台詞、人生で何回言ったんだろう。一生分言った。もうそろそろ卒業したい。でもきっとそう思ってるのは、俺だけだ。

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