かわいいひとたち

・ジュディスちゃん最強
・会話文

「で、どうして私なのかしら？」
「……他に相談出来そうな者が思い付かなかったんだ。当事者の兄さんはもってのほかだし、ユーリやフレンも駄目だ。カロルやリタはまだ幼いし、エステリーゼ様にこのような話をするのも気が退けて…。」
「つまり私にはそんな話をしても構わないってことね？」
「いっいや、そういう訳では…！」
「ふふ、冗談よ。そんなに固くならないで、楽しくいきましょう。お酒はお飲みにならないの？」
「いや、あまり得意ではなくて。君は遠慮せずに飲んでくれ。」
「私、一応未成年なのだけれど。」
「あ、」
「悪い騎士様ね？でも遠慮しておくわ、あまり好きではないの。」
「そ、そうか。」
「それで、何なのかしら？」
「あ、あぁ。……その、……、」
「……………」
「……………」
「……………」
「…～～～っ！やっ、やっぱりビール！一杯頼む！」
「あら。」
「わ、笑ってくれ。素面だと恥ずかしくて話せそうもない。」
「ふふ、可愛いのね。」
「からかうのは止めてくれ…。」
「あら、結構本気だったのだけれど。まぁ無理はしないで、気長にいきましょう？夜はこれからだもの。」
「…あぁ。」

出来上がってきました。

「何だってんだあの馬鹿兄貴は！」
「あらあら。」
「むっ、昔から兄の癖にふわふわ危なっかしくて、下手にお人好しで面倒見が良いから色んな奴に好かれて、こっちが不埒な輩を排除する為にどれだけ苦労してるかも知らないで、無防備だしっ天然だしっ馬鹿だし…！！」
「だからユーリもフレンも駄目だったのね。お兄さんを下さい、なんて言われてしまったら、貴方憤死してしまいそうだもの。」
「……妙に現実的な予言は止めてくれ。死にたくなる。」
「それは駄目よ、貴方の大事な大事なお兄様が悲しむわ。」
「う………」
「大好きなのね、おじさまのこと。」
「……………さ、最初はちょっと過剰なブラコンだと思ってたんだ。小さい頃からずっと一緒で、本当に自分の身体の一部みたいに感じてた。それが……、」
「……………」
「それが、笑顔にどきどきしたり、不意に抱き締めそうになったり、可愛いと思ってしまったり、するようになって。」
「……………」
「こっ、この間だってべろべろに酔って帰ってきたかと思ったらいきなり抱き付いてきて、あまっさえ一緒に、い、一緒に寝てくれ、とまで！」
「あら。」
「……し、しかもそれが嫌でないと感じている自分が、憎い。」
「あらあら。」
「わ、笑ってくれ。実の兄が可愛くて堪らないなんてっ、俺は、」
「笑わないわ、素敵なことよ？」
「え、」
「そんなにもおじさまを大切に思ってる貴方を笑えるほど、冷たい人間ではないつもりよ、私。」
「………………いいの、だろうか。」
「こういうのよく分からないけれど、良い悪いで決まるものじゃないと思うわ。貴方がしたいようにすればいいんじゃないかしら。」
「………………」
「ね。」
「……………う、む…。」
「シュヴァーン！ジュディスちゃん！」
「っ！！？！」
「あらおじさま、ごきげんよう。」
「どしたの、何か珍しい組み合わせ。飲み行くならおっさんも誘ってよぅ！」
「に、にいさ、」
「シュヴァーンも水臭いんだから～。自分だけこんな真っ赤になるまで飲ん、…ちょっ、シュヴァーン！！？」
「あらあら、寝ちゃったみたいね。」
「ふぇ？どうしちゃったの、もう。」
「色々悩んでたみたいだったから、彼。疲れてたんでしょうね。」
「えっ！だ、大丈夫なの！！？」
「ええ、一応解決はしたみたい。」
「そっかぁ……もう、昔からしっかりしてたもんだから何でも一人でやっちゃって。お兄様は心配よ、このこのっ。」
「…ん、…にいさ、………」
「わ、シュヴァ…！ちょっ、飲み過ぎだってもうしょうがないんだからぁ。」
「可愛いわね、貴方も、彼も。」
「またまた～ジュディスちゃんったら。こんなおっさん達捕まえて何言っちゃってんの。」
「あらご謙遜。この分じゃ彼も大分苦労してるみたいね？」
「ふへ？なに？」
「ふふ、何でもないわ。」
「？？？」
「そうね、でももう少し貴方が彼のことを思うのなら…」
「え、」

ちゅっ

「このくらい、避けてみせないと駄目なんじゃないかしら。」
「…………へ、あ、ぇ、う、？」
「じゃあ私、先に帰るわ。彼のことも、よろしくね。」
「え、えと、あれ、え、その、え？」
「………zzz」

「ふふっ、本当に可愛い人達。」

かわいいひとたち

100719