「バニーちゃんおはよーっ!」 「!っおはよう、ございます…」 朝の挨拶に伴うハグ。流石に最初ほど驚くことはなくなったものの、未だに頬が熱くなるのを抑えることは出来ないでいる。 ここはトレーニングセンターで、僕たちは二人とも軽く薄いトレーニングウェアに身を包んでいる。つまり、虎徹さんの立派な、豊満過ぎるおっぱいの感触が、より鮮明に感じられてしまう訳で。 「なんだ、朝から元気ないぞ?なんか顔色悪いし…あれ、赤くなった?」 「きっ気のせいです!」 「?ふーん」 「…朝から無駄に元気な貴女と違って、僕は低血圧なんです。それに、最近忙しくてあまり眠れていなくて…」 顔の赤いことを否定すると共に、何だか余計なことまで言ってしまった。しまった、と思った頃にはもう既に時遅く。 「あっ、あの、まあ慣れているので大丈夫ですよ、このくらいっぅわあッ!!?」 「頑張ってんだなぁバニーちゃん…!いい子いい子…!」 「なっ、いっいきなり何を、何をしてるんですか貴女はっ…!」 「俺の心臓の音、落ち着くだろ?バニーちゃん疲れてると思って」 「んっむ〜〜〜ッ!!?!!」 顔全体を包むやわらかな感触。視界は暗く、鼻を甘い匂いがくすぐる。 今まで腕や背中に当たっていたものが、ダイレクトに、顔に。これがいわゆるぱふぱふというやつか…とこの場に相応しくない考えが頭を過り、慌てて振り払おうとするも、ますます意識してしまう。 落ち着いた速度を保った虎徹さんの心音とは反対に、僕の心臓は口から飛び出すんじゃないかというくらいに暴れ始める。 「んーっ、んーっ!」 「こーら、暴れんなって。」 苦しくて恥ずかしい。仕方がないから引き剥がそうとして掴んだのは、虎徹さんの腰。びっくりするくらい細くて、同時にどこかやわらかで、僕は慌てて手を離した。 「(殺す気だ…!そして生殺しだ…!)」 「バニーちゃん?」 探るようにゆっくりと、僕の首に回る虎徹さんの腕(これまたふにふにして細かったが、なんとか耐えた)を掴み、そっと下ろした。思ったほど抵抗はない。 そして向かい合おうとしたところで、僕は踵を返してトレーニングマシンの方へ向かった。とんでもないことになっているであろう顔や、この歩きにくさの原因に気付かれたくなかったからである。 しかしそういった努力をあっさりと台無しにするのが虎徹さんという人間で。 「どーしたんだよバニーっ」 「っ!!!」 はい冒頭に戻りまして後ろからのハグ。虎徹さんのダイナマイトなおっぱいが、僕の背中に、むにゅりと。 最初と異なるのは僕の方の状態で、まだ冷静だった最初とは違い、今は興奮・混乱しきった所にこれがきた。つまり、完勃ちしました。はい。 「っあなたって人は…ッ!」 「へ?」 急に蹲った僕を心配する虎徹さん。もう何もかも、この人の所為だ! 頭がカッと熱くなって、虎徹さんを思い切り引き寄せて抱き締めた後、床に押し倒した。 虎徹さんが困惑した瞳で見上げてくるのに、自分の中の何かが満たされていくのが分かる。 「っばに…?」 「いつもいつも貴女は…っこっちの気も知らないで!」 「ひゃっ!」 ぶっ飛んだ思考のままに、右手で虎徹さんの両手を頭上でまとめて押さえ、左手でその豊かなおっぱいに触れた。やわらかで、でもハリがあって、むにゅりと指が沈んでいく。気持ちいい。 先端の辺りを探ると、ぷくっと膨らんでいる箇所を見つけたので、そこを爪で軽く引っ掻いてやる。 「っひぁ…ッ!」 「乳首、いいんですか?」 「ゃ、よくね…っ、!も、ばに…、やだ、止めろよ…っ」 「いつも虎徹さんが僕にやってくるのと同じようなことです。…僕だって、男なんですよ」 「っやぁ、やだ…っ!」 「で、最期の言葉はそれでいいのかしら?ハンサム。」 突如聞こえてきた言葉に顔を上げると、額に青筋を浮かべて微笑むネイサンがそこに。そういえばここはトレーニングセンターのど真ん中だったということを今更ながらに思い出した。 ネイサンの周りには、まるでゴミを見るような目付きで僕を見てくるカリーナとホァンとイワン、無表情で指を鳴らすアントニオ、微笑みながらも目は笑っていないキース。 これが、四面楚歌、というやつか。 * 「あぁ〜んっ、タイガーちゃんったら可哀想…。あんの糞強姦魔の所為で…アタシたちがもう少し早く来てあげればよかったわねェ。」 「大丈夫ですか?タイガーさん…」 「あたしのタオル、使う…?」 「ボクのもあるよ?」 「や、だいじょぶ…」 「あんまり目を擦ると赤くなってしまうよ、ワイルド君。」 「ん…ありがと、みんな。……バニーは…?」 「あそこで焦げて痺れて凍って斬られて殴られて死んでるさ。虎徹は気にすんな、俺たちが何とかしておく。」 「……………」 (びっくりしたけど、ちょっとドキッとしたとか……俺、なんかおかしいのかな…?) 地獄の天国のち地獄 100912 ――――――― 「兎虎♀でやたらとスキンシップという名のセクハラをしてくる♀虎に兎が仕返し・びびって泣いちゃう♀虎」とのリクエストでした! バニーちゃんが哀れ。 |