追い縋る微睡みを無理矢理に振り払って、強引に目蓋を開けた。 目の前にはやわらかに微笑むジュディスちゃん。どこか安心すると同時に何だか恥ずかしくなって、ふっと目を伏せた。 「い、つから、起きてたの…?」 「さあ、いつからかしら。」 「ん…」 額に、頬に、と場所を変えながら軽く口付けられていく。くすぐったくて目を瞑ると、その上から。 こういうのは普通逆だと思うのだが、俺とジュディスちゃんはいつもこうだ。それは多分、彼女にこんな風に甘やかしてもらうのが心地いいからで。 「かーわいい」 「……そんなの、こんな中年に向かって言う台詞じゃないでしょうに…」 「あら、ご謙遜。」 くすくす笑う彼女に、今度はぎゅうと抱き締められる。豊満な胸に顔が埋まるような形になり、いい匂いがふわりと香ってきて、うれしいやら恥ずかしいやら情けないやら。 そう、いつも。いつも彼女はこんな風に俺をぐずぐずに甘やかしてくれる。心地いいそれを甘受するしかない俺は、ただの腑抜けた中年でしかないんじゃないだろうか。甘えたで寂しがりのいい年した男なんて、気持ち悪いし笑えない。 途端に申し訳なさが込み上げてきて、もぞもぞとジュディスちゃんの腕から抜け出す。見上げた先の彼女は、一度きょとんとした顔をしてから、ゆったりと微笑みを浮かべた。 「……あの、ごめ、」 「ねえ、おじさま。」 俺の唇に人差し指でそっと触れて、遮るようにジュディスちゃんが言った。 「私、貴方のこと好きよ。大好き。 大好きな人を甘やかすのがこんなにうれしいことだって、貴方が私に教えてくれたの」 だから、ありがとう。 ジュディスちゃんがそう言うよりも早く、俺は再度彼女に抱き付いてその胸に顔を埋めた。これ以上情けない男振りを披露しないようにという、ほんのささやかな抵抗である。まあ、彼女に密着してしまっていては、胸を濡らしてしまったり嗚咽が聞こえてしまったりでバレバレだろうけど。 誤魔化すように彼女に擦り寄って、抱き付く力をぎゅうと強めた。 「もう、そんなにかわいいことしないで。」 「じゅりすちゃ、…っ、…すき…」 「…もう、悪い人。」 sugared 110830 ―――――― 「ジュディレイで幸せ過ぎて泣けちゃうレイヴン」とのリクエストでした! 甘えたおっさんと甘やかし上手なジュディスちゃん。 |