姫と騎士らしいです | ナノ



「タイガーおはよう!」
「ぅおっ!?」

トレーニングルームの扉を開くと、いきなりホァンに飛び付かれる。びっくりしてバランスを崩してしまうが、何とか尻餅はつかずに済んだ。
胸元ではホァンがえへへと悪戯っぽく笑っていて、その無邪気な表情が可愛くて頭を撫でてやった。さらさらの髪をわしゃわしゃ撫で回してやると、楽しそうな声が上がる。

「あはっ、ちょっとタイガー、止めてよー」
「なはは、ごめんごめん。せっかくかわいいのが台無しになっちまうな」

そう言うと、ホァンは少し顔を赤くしてから、はあぁと溜息を吐いた。

「……もう、タイガーは…」
「ん?」
「ボクはいいけど、もうちょっと気を付けた方がいいと思うよ?」

心配そうにホァンがそう言ってくるが、一体何に気を付けたらいいのかが分からない。
それよりも、むっとしたようなその表情を見て楓のことを思い出し、自然とにやけてしまう。虎徹にとって、子どもは皆かわいく、愛でずにはいられないものなのだ。
そんな虎徹のだらしなく緩んだ頬を見て、ホァンがまたはあぁと大きな溜息を吐く。

「あれ、どうした?」
「はぁ、何でもない。でもなんかあったら言ってよね!バーナビーとかスカイハイとか、折紙サイクロンとか、意外な所でロックバイソンとか、まさかのファイヤーエンブレムとか!」
「?お、おう。」

訳の分からぬまま頷くと、ホァンは満足げに笑った。
やっぱり子どもは笑顔が一番だ、と虎徹は思う。よしよしと優しく撫でてやると、見かけによらぬ強い力でぎゅうと抱きつかれた。

(タイガーはボクが守らなきゃ!)

そんなホァンの何だか色々と間違った決意など、虎徹が知る由もなかった。



姫と騎士らしいです

100616



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おじさんは思ったことをすぐ口に出しそう。天然タラシはあはあ。
ホァンちゃんとおじさんのコンビはかわいさ無限大ですね。はあはあ。