60


『……ねぇ、ちょっと酷いんじゃない?』


一番隊の隊舎へ向かう途中、凛の手には霊圧制御装置が。


「仕方ねぇだろ。俺達が連れて来たとはいえ、お前は旅禍と同じ扱いをされてるんだ。」


『ぅわ。そんな勝手な…(私、普段から自分の意思で霊圧抑えてるつもりなのに……漏れてたかなぁ?)』




凛の霊圧は尸魂界の霊子に触れることで少しずつ回復していた。
そのことに凛は気付いていなかったのだ。




気付けば目の前には一と書かれた大きな扉。



コンコン




「六番隊副隊長、阿散井恋次。旅禍を連れて参りました。」








「よかろう。入れ。」







扉の向こう側から低く、重い声が聞こえる。
その声に、少し恐怖を覚えた。





「入るぜ。死にたくなきゃ歯向かうなよ。」


『んー、分かった。』



扉を開けながら恋次は忠告するも、凛は軽く手をヒラヒラと降るだけ。


若干の不安を抱きつつも、恋次は重い扉を押した。




ギィッ






「…凛だな。」


『…はい。(誰?この爺さん…)』




部屋に入ると、ずらりと並ぶ、隊長と副隊長。
そして最も奥には、先ほどの声の主である、おじいさんがいた。



恐ろしい程の隊長格の威圧感におされながらも、自分の過去を余計に知る必要があると感じた凛だった。






私は現在部屋の中央にいて。
まぁ当然のごとく注目をあびてます。


「説明するがよい。」



『説明っても何から話せば…』



「全てじゃ。何故現世にいたかかということ辺りから…」


「待ってよ山爺、彼女を知っているのかい?」



急かす山本に、凛の存在を知らない八番隊隊長、京楽春水が問う。
また、他の隊長、副隊長達の多くも同様の疑問を持っていたようだ。皆が賛同するように頷く。



「…そうじゃな、今となっては隠す事もあるまい……。
凛は、榊原家の唯一血を引くものじゃ。」



「「「??!」」」


「ちょっと待ってよ、山じい。榊原家は十年前に滅んだだろう?」



周りは騒ぎだし、京楽も疑問を述べた。


「そうじゃ、だから儂も真実が知りたい。」



「大体、この旅禍があの元四大貴族の榊原家であるという証拠はあるのか?」



落ち着き払う山本に、今度は二番隊隊長、砕蜂が疑いの目で凛を見た。






「本当だ。」





一同の視線が、声の主へと注がれる。





「コイツは、正真正銘、榊原家の唯一の跡取りだ。」






そう言い切ったのは、十番隊隊長の日番谷冬獅郎だった。



「何故そう言い切れる?」


「こいつの顔を間違える筈は無ぇ。そうだろ?更木。」



砕蜂の問いにあっさりと答えた冬獅郎は、十一番隊隊長更木剣八へとふる。


「ああ、こんなマヌケ面、一人しかいねえよ。」





『なっ失rフグッ!!!』


あんまりな言われように、失礼な!と怒ろうとした凛だったが、誰かによってとめられていた。

急に現れた人影に、誰もが驚きを隠せなかった。



【俺が全てを話す。】




『雷獣鬼っ』









[ 61/90 ]
[*prev] [next#]


戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -