01
「あの化け物、遂には子供を襲ったそうよ」
「全く、恐ろしいわ…」
「早く取っ捕まえなければ次誰が被害にあうか分からんぞ!」
口々に囁きあう人々。
ここ、村にある料理屋でもその話題は持ち切りだった。
バンッッ突然、店の扉が勢い良く開けられ、騒いでいた客達も目を向けた。
そこには、上半身が裸で、オレンジ色のテンガロンハットを被った青年が俯いて立っていた。
妙な威圧感に、店中が押し黙る。
すると、青年が口を開いた。
「…肉、くれ!!!」青年は席に着くと物凄い勢いで食べ始めた。
驚くように村の客達が見ている。
「坊主、お前気持ち良く食うやつだな!名前何て言う?」
声をかけてきたのは、その料理店の店主。
「あ?……エース。」
「そうか、エース!まけてやるからたんと食えよ!!」
「……あぁ。」
海賊である自分の名前を名乗ることに少し躊躇ったが、名前を聞いても周りの反応は変わらなかった。
村人達も、話題は戻り、化け物について再び話しだす。
.
[ 2/72 ][*prev] [next#]