これから先も、ただ一途に愛してる

最近、三村が女の子と帰ったりキザな台詞を言ったりするのを見る機会が少なくなった気がする。バスケ部と関係なく三村とすごく仲が良いわけでもなくさらに三村の取り巻きでもない私がそんな事を言うのは、それだけ今までの三村のプレイボーイぶりは普段から目にしていたという事だ。いや、というより普段からクラスでも話題になっていたし、普段から目にするほどだったからで、私が意識的に見ていたわけではない。全くこれっぽっちも。

とまぁ、そんな感じに普段から女の子から黄色い声援やら告白やら複数人との肉体関係を持ってたりやらをしてたプレイボーイが、ここ最近はどうしてか女の子の誘いやらを断っているらしい(らしいとは言っても、クラスの情報通や学内の噂話やらを聞くまでもないが)。なんでなんだろう。もしかして女の子に飽きたとか?いや、それはないか。三村曰く「カワイ子ちゃんは平等に愛しちゃう主義」らしいし、ポケットに相棒(という名のコンドーム)常備してるくらいだし、あり得ないな、うん。て、今さらながらなかなかにすごい奴だな、アイツ。



「名前、そんなしかめっ面で何を考えてんだ?」



色々と三村信史について考察していると、話題の中心である三村信史本人が教室の扉から入ってきて、まっすぐに私の席の前まで歩いてきた。「別にー」と適当に返事して、右手をひらひらと振る。すると三村は「絶対嘘だろ、それ」と、肩を竦めながら笑って空いている前の席に腰を下ろす。いや、なんでわざわざ私の前の席に座ってこっち向いてんの。



「てか、三村も女の子達と話してきたら?いつもなら廊下とかで楽しそうに話してるじゃん」

「…名前は、俺が女の子達と話しててなんか感じないの?」

「は?何を?」



突然何を言い出すんだこの男は。最近はそういう場面を見なくなったとはいえ、今更三村が可愛い女の子達と話していたとしても、何も感じる事なんてない。せいぜい「あ、やっぱ我慢出来なくなったか」か「いつもの風景だ」と思うぐらいである。つまり三村とはそういう奴だ。



「……手厳しいねぇ」

「褒め言葉だよ」

「俺、名前が好きだから他の可愛子ちゃん達と話すの少なくしてお前と話してんだけど」

「…うわぁ、笑えない冗談を」



突然の告白に、驚くよりも早く呆れる。こいつは女の子になら誰にだってこういうセリフをサラッと言うプレイボーイだ。なんで特にこれといった取り柄もない、意味もなく他愛もない話をするくらいの仲な私なんかに。



「ひでっ!真剣なのにさ」

「…どうだかなぁ。いまいちピンとこない」

「…でも俺は、」




(まだまだ様子見、だよ。三村)
(ぜってぇ振り向かせるから覚悟しとけ)






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