Spiel dein Spiel 2








ジュン、少しよろしいですか?」

「どうしたのよ、ガーゴモン。珍しいわね」


後続の車がないことをルームミラーで確認して、ジュンはハンドルを回す。路側帯に合わせて止めた。今年の4月から大学に進学が決まっているジュンは、春休みを利用して念願の自動車免許を手に入れた。都心に住んでいるなら必要ないと難色を示した両親を説き伏せて、アルバイト代で費用を賄ったから、嬉しさもひとしおだ。ホントならバイクも取りたかったのだが、デジタルワールドの冒険第二章最後の事件には間に合いそうもなかったので、諦めた。すべては選ばれし子供たちが東京中を奔走するのを少しでも手助けするためである。一人暮らしをはじめて1週間が経過した。はじめたばかりのアルバイト帰りである。脇見運転はさすがに怖いので路上駐車した。ノートパソコンをこちらに向けると、ガーゴモンがいる。


「未確認のデジタルゲートが確認されました。この近くです」

「え、うそ。まだじゃないの?ちょっと早すぎない?」

「いえ、違います。そこまで邪悪な感じはしない」

「そうなの?じゃあ、行ってみる?」

「いえ、やめておいたほうがよいかと」

「え?なんでよ?」

「ワタクシがどのような手段でもってはるか彼方の未来から、この時間軸にやってきたか、覚えておいでですか?」

「そりゃ、あれでしょ?別次元のデジタルワールドに移転できるアイテムを管轄してるセキュリティ・システムにハッキングしかけたんでしょ?」

「ええ、いかにも」

「それとなんの関係が?」

「そのアイテムを守護していたデジモンと気配が酷似しています」

「・・・・・・ちょい待ち。たしかそのセキュリティ・システムってクリアランス的には最高位だったわよね、たしか」

「ええ」

「まさかわざわざロイヤルナイツがそのアイテムを奪還しにきたとか言うんじゃないでしょうね!?」

「さあ、どうでしょうか。ワタクシにはそこまでわかりません」

「どうすんのよ。ガーゴモン、それなくしちゃったんでしょう?謝罪で許される次元の話じゃないわよね、それ」

「ワタクシとしては余りおすすめはいたしません。ですが、少々気になることがございます。確かにロイヤルナイツに名を連ねていたデジモン、たしかデュークモンの気配をまとったデジモンではありますが、どうやら成長期のようだ。しかも近くに子供を連れている」

「選ばれし子供に偽造してんじゃないの?」

「その可能性もなきにしもあらずですね」

「でしょ」

「ですが、この時代にはまだロイヤルナイツそのものがまだ組織されておりません。マグナモンもオメガモンも選ばれし子供たちのパートナーでしかない時代です。デュークモンもまたしかりではないかと」

「いやでも、デュークモンでしょ?うーん」


ジュンは考え込む。デュークモンはウィルス種でありながらロイヤルナイツに所属し、ウィルス種が持つ破壊力を秩序維持に使用する異端中の異端である。不穏な噂の耐えなかったメタルエンパイアに協力関係にある四大竜ではないかという疑惑は拭えないし、デジタルハザードが刻まれている時点で世界を揺るがす混沌の象徴でもあった。デジタルワールドではデジモンの進化の崇拝者であり、ホメオスタシスの意に沿わない進化であったとしても、生き延びるために必要ならばすべてを許容するようなデジモンとして知られていた。文化的にも宗教的にも複雑な背景を持っていることで有名なデジモンだ。ホメオスタシスがロイヤルナイツのデータに流用したいわば元ネタが誰かは非公開だったはずで、さすがにジュンでも知らない。そもそもこのデジモンがロイヤルナイツという存在が明かされた時、一番最初に公開されたデジモンなのだ。いつ誕生したかなんてジュンは知らない。それこそ、この時代から非公開ながら存在していたと言われたら、どうしようもないのだ。


「つーか、なんでデュークモンがここにいるのよ!?そんなにやばかったっけ。ロイヤルナイツが出張るほど?」

「ワタクシの記憶にはございませんが」

「そーよねえ?まだ選ばれし子供たちでなんとかなったレベルだもんねえ?うーん、ますます理由がわからん」

「どうしますか」

「どーもこうもないわ。とりあえず、ガーゴモン。その未確認のデジタルゲート、どうなるか監視お願い。これからクラモンたちが押しかけてくるのに、どうしてこうも問題が次々と・・・・・・!」

「了解いたしました」

「ゲンナイさんに連絡でもとってみようかしら。クリアランスの関係で知らぬ存ぜぬ貫かれたらどうしようもないけどさ」


ジュンはダメもとでゲンナイさんにメールを送る。しかし、返事は期待できそうにない。ディアボロモンが復活したというメールをうけた光子郎たちはお台場中学校のパソコン部に集合しているあたり、おそらくゲンナイさんをはじめとしたセキュリティ・システムは騒ぎが露見する前に事態を収束させようと必死なのだ。こちらのメールに気づいてくれるかどうかさえ、微妙である。未だにガーゴモンの正体を隠し続けているジュンとしては、余計なことをしてぼろを出すのは避けたいところ。どうしよっかなあ、と悩んでいたジュンは、こつこつと叩くドアに気づく。はっとして顔を上げる。気づけば路上駐車が許される時間帯が近づいている。やばい、やばい、怒られるかも、と窓を見ると小学生がいた。

大輔くらいだろうか。ゴーグルをつけている青いパーカーを着た男の子だ。どうやらノートパソコンごしとはいえ、デジモンと会話しているところを見られてしまったらしい。まずい、まずい、めんどくさいことになってしまった。げーっという顔を心の中に押し込めて、あけてくださいとドアを叩いている少年に、どうしようと頭を巡らせる。すると、ガーゴモンが言った。


「その少年ですよ、ジュン

「え゛?!」


よく見れば成長期にしてはとても大きな図体の赤い恐竜がいる。あれで隠れているつもりなのか聞きたいけど。しっかしみつかった。みつかっちゃった。どうしよう。仕方なくジュンは窓を開けた。


「どうしたの?」

「すみません、ここってどこですか?」

「どこって、新宿だけど?」

「新宿・・・・・・え、でも、あれ?あの、すいません。今日って何日でしたっけ」

「3月8日」

「何年のですか?」

「なにって2003年だけど?」

「に、にせんさんね、えええええっ!?」


どうしたの、タカトーってデュークモン疑惑のある成長期から可愛らしい声がする。タカトと呼ばれた少年は、出てきちゃダメだよ、ギルモンって叫ぶ。やめてよー、こっちも注目されてんじゃない。ジュンはため息をついた。


「のって」

「え?でも」

「ここじゃ目立って仕方ないからね。ほら、おいで、そこの赤いキミも」

「ギルモンも?」

「そう、ギルモンも」

「でもギルモン大きくて車に乗れないんじゃ」

「あら、アタシのノートパソコン見て、話しかけてきたんじゃないの?」

「そ、そうですけど」

「ならわかるでしょ?大丈夫、成長期くらいだったらまだ容量あるから」


とりあえず、パソコンにギルモンを収納する。タカトと呼ばれた少年を乗せたジュンは、ゆっくりと車を走らせ始めた。


「そういえば自己紹介遅れちゃったわね。アタシは本宮ジュン、よろしくね」

「えっ!?や、やっぱり!」

「え、なに、アタシのことしってるの?」

「えっと、いや、そのー、あはは」

「なんかキミみてると、ちっちゃい頃の弟思い出すわ。アタシ、キミくらいの弟いるんだよね、なんだか他人な感じがしないわ」

「僕はタカトです。松田タカト」

「へー、タカトくんか。ここら辺に住んでるの?送ってあげようか?」

「いえ、その、そういうわけじゃ」

「実を言うとね、ガーゴモン、ああアタシの相方なんだけど、そいつが言うには未確認のデジタルゲートが開かれたって言うのよ。この大変な時に。だから一応来てみたんだ。そしたらキミに声をかけられたんだけど、なにか関係ある感じ?お姉さんに正直に話してご覧よ。これでも弟はその手のプロだからね、頼んであげる」

「・・・・・あの、本宮さ」

ジュンでいいわ。さっき、思いっきり言おうとしたでしょ?」

「あ、あはは。ジュンさん、聞いてもいいですか」

「なに?」

ジュンさんの弟って、本宮大輔くんですか?パートナーはブイモン?それで、選ばれし子供?」

「ずいぶんと詳しいんだねえ、驚いちゃった。そうよ。説明する手間が省けてありがたいけど、タカト君、何者なの、キミ」


ルームミラー越しにタカトを見ていたジュンは、お願いします、といきなり頭を下げはじめた少年に目を見開いた。


「大輔くんたちに合わせてください!僕たちの仲間が、デジモンが、みんなが、危ないんです!助けてください!」





























「オレさ、実は、記憶がなかったことがあるんだ。小学校5年生の春休みより前のことが。家族のことも、友達のことも、なにひとつ覚えてないのに、デジモンのことだけ覚えてた。だから、おれは、カードゲームを始めたんだ」


タカトの前で、ぽつりと遼はつぶやいた。なにもかもがちぐはぐだった。九州で生まれ育ったはずなのに、東京に来ると無性に泣きたくなるくらい懐かしさを覚えて、離れたくなくて、長期休みになるたびに理由をつけては旅行に来ていたこと。初めて来る場所なのに、強烈なデジャヴュを覚えること。玩具会社が発案したホビーコンテンツがアニメ化して人気を博し、メディアミックス展開をするなかでカードゲームが流行る前から、デジモンという存在を知っていたこと。でも遼はどうして知っていたのか思い出せなかったという。


「大丈夫?」

「ありがとな、今はもう大丈夫だよ。それで思い出した。オレさ、タカトくらいのころから、選ばれし子供に憧れてたんだ」


選ばれし子供。タカトが毎週かかさず見ている大好きなアニメにでてくる登場人物たちの総称である。タカトにとっては意外だった。たしかにアニメのキャラと関わり方は違うけれども、遼とセイバードラモンはタカトからすれば、ずっとずっと強いツナガリがあるように感じられるからだ。アニメの世界はデジモンと人間が特殊な関係性で結ばれている世界観であり、タカトたちの世界ではデジモンと人間の関わり方は多彩だ。だから選ばれし子供でではなく、テイマーと呼称されるのだから。


そして、違和感を覚える。あのアニメシリーズは2年前から放送されているのだ、遼が小学校5年生のころはまだ放送されておらず、選ばれし子供という言葉もまだないはずである。タカトの知る言葉と遼がいう言葉は、微妙にズレがある気がしてならない。でも、諦めたように、懐かしそうに言うのがちょっといやだった。タカトのしる遼とは違う気がして、すぐ近くにいるのに遠く感じてしまう。


「憧れてたって、諦めたの?遼さんらしくないよ」


ちょっとむっとした言い方になってしまった。その言葉を受けて、遼はすまなさそうに笑った。


「選ばれし子供って、なるにはパートナーがいるだろ?いくら名乗ったってさ、パートナーがいないと難しいよな」

「それはそうだけど、パートナーじゃなくたっていいよ。僕にギルモンがいるように、遼さんにはセイバードラモンがいるじゃない」

「まあ、そうなんだけどさ。それとは別の話なんだ。とにかく、オレは認めたくなかった。こいつがパートナーであってほしくて、一緒にがむしゃらに走ってきたけど、オレには、オレのやり方じゃ限界があったんだ。テイマーと選ばれし子供は違うから、どうしても無理だった。そんなこと、もっと早くに気づけばよかったよな」

「遼さんが言いたいことはよくわからないけど、ホントにそう?しょうがないこと?遼さん1人なら無理でも、僕たちと一緒なら形にできない?」


そう言い切る前に、遼は笑った。続きなんか聞くまでもないという顔で、首を振る。ありがとう、そう言っただけだった。静かに目を閉じて、長く息を吐いた。


「オレさ、帰るんだ」


それが別れの言葉だった。九州に帰るんだ、とタカトは思った。みんなもそう思っていた。次の春休みになったらまた会えると信じていた。春休みにみんなで集まらないかって、タカトが遼の家に電話するまでは。


なにせルキですら勝てなかった天才カードゲーマーにして、デジタルワールドを1年間放浪し、現実世界に帰ってきたはずの秋山遼はそこにはいなかったのだ。そこにいたのは1999年に起こったチベットのテロ事件に巻き込まれて記憶喪失になり、1年間行方不明になっていて、ようやく帰ってきたという少年だ。経歴は同じだが、電話越しに聞いた声は、まるで別人だった。記憶に障害が見られることから病院に入院し、ようやく退院したばかりというのだ。タカトの知っている遼とサイバードラモンはどこにいったんだろう?タカトは混乱した。1年間どこで何をしていたのか思い出せないと沈黙を守っているというのだ、タカトたちのことを内緒にする理由がないから、なおさらわからなかった。デジモンを知っている大人たちに協力を仰げばいくらでも説明できるのに。それを教えてくれたのも初対面であるという秋山遼、その人だった。


彼が上京したのは、春休みのある日のこと。結局、半信半疑で集まってくれた仲間をタカトの家で待ってもらうことにして、タカトはギルモンとともに、新宿駅で待ち合わせた。いつもの遼なら絶対に着ないジャンルの服をしていたから、声をかけられるまでわからなかったのはご愛嬌だ。最近、なんだか落ち着きがなくてタカトにべったりのギルモンをみる周囲の目が気になって、急いで家に帰ってきた。イメチェンしたのかというレベルで別人な遼にみんな驚く。本人は初対面だから当たり前だよと笑う。そして、いうのだ。


「信じてくれないと思うけど、キミたちだから話すよ。もうひとりの僕と一緒にいてくれたキミたちだからこそね」


1999年8月3日に起こったチベットのテロ事件とされている出来事。巨大なデジタルゲートが出現し、大量のデジモンたちが出現してしまったのが真相だ。その影響で時空がゆがみ、次元の亀裂が発生。この世界にいたはずの秋山遼は、その亀裂に巻き込まれて別次元に飛ばされてしまう。これから起こる出来事を成立させるために必要な秋山遼という存在を据えるため、とある事情から時空の狭間をさまよっていた同一の存在が呼ばれた。しかし、飛ばされてきた秋山遼は、さまよう理由となった出来事のために、すべての記憶を失っていた。やがてこの世界の秋山遼が帰還し、別次元の遼も記憶を取り戻し、元の世界に帰還することを選んだ。同じ次元に同一の存在は2つも存在できない。記憶を失っていたから共存できた関係も、記憶を取り戻してしまうと大きな力が働いてしまう。


「だから、キミたちが知ってる秋山遼は、元の世界に帰ったよ。一応僕も説得したんだけどね、それでいいのかって。最後まで首を縦に降らなかった。巻き込みたくなかったんだと思うよ」

「遼さんがいたっていう、元の世界って・・・・?」

「キミがよく知ってる世界だよ」


そういってこの世界の遼が差し出したのは、タカトがよく知っているデジヴァイスである。アニメグッズとして市販されているおもちゃより、はるかに精巧に作られた正真正銘の選ばれし子供の証。見てみるかい、といわれ、渡されたタカトは息を飲んだ。憧れてやまない世界が実在したことをなによりも証明するものがここにある。タカトが持つそれとは全く趣向が違うが、高性能であり未知の機械であることは明白だった。なにせタカトがもつものより軽量なのに頑丈。コマンド入力すると目の前から遼が消えた。そして、タカトがよく知る機能が満載のノートパソコンを提示されれば、頷くしかない。


タカトが知っている秋山遼は、あこがれの世界の住人だったのだ、と。そして、ようやく彼が言っていたことがわかるのだ。選ばれし子供でありながら、テイマーにしかなれなかった秋山遼。彼にはパートナーデジモンがいなかった。


「僕も彼も最後まで迷ったよ。この3年間は事故とはいえ、かけがえのない時間だったからね。このままでもいいんじゃないかって、何度も思ったさ。でも、そういうわけにもいかなかった。別次元の同一の存在でも、パートナーとなるデジモンにとっては、彼しかいないからね。僕は変わりはできない。どのみち彼がこの世界に来たのは、そのパートナーとの長い戦いの通過点に過ぎないんだから、彼が望めば僕は止められない」

「え、それって、どういう?」

「聞きたいかい?」

「うん」


ホントは誰にも言うなって言われてるんだけどね、と隠すつもりは微塵もないらしいこの世界の遼は、タカトの知る秋山遼という少年とミレニアモンという邪神の長い戦いについて語り始めた。やがてタカトはまさかという気持ちがこみ上げてくる。そんな気持ちを察したのか、どうだよ、とこの世界の遼は肯定した。そんな、とタカトは二の句が告げない。みんな、あまりにも突拍子もない話しながら、目の前でノートパソコンのデータとか物証を並べられながら語られたら、疑う余地もなくて、困惑していた。


「僕もあっちの世界で選ばれし子供をやっていたから、彼の気持ちもよくわかる。彼はあっちの世界の選ばれし子供でありながら、パートナーがいなかった。いや、いなかったんじゃない、会えなかったんだ。当たり前だよ、彼の本来のパートナーは何度倒しても復活する邪神なんだから。彼が因果律の中心にいるからどんどん強くなる。絶対に倒せない。パートナーと選ばれし子供の関係じゃなかったら、ここまで邪神は強くならなかったはずさ。でも彼は決着をつけに行くといってたよ」

「・・・・・・どうして、そんな大事な話をオレたちに?」

「それはね」


タカトの携帯がなった。みんなの視線が集中する。ご、ごめん、といいながら着信をみるとルキの番号だ。ライバルだった少年が異世界の住人でしたなんてネタばらしされて、信じられるわけがないと突っぱねた少女は途中で離脱している。どうしたんだろうってみんな顔を見合わせた。


「もしもし?どうしたの、ルキ」

「消えたの」

「ルキ?」

「消えてしまったの、レナモンが!」


助けて、タカト。たくさんのデジモンが。かきけされるルキの声。そして途切れる通話。思わずこの世界の遼を見たタカトに、彼はノートパソコンを向けた。


「僕が帰ってきた理由は、ミレニアモンの驚異を伝えるためさ。この世界にも影響が出始めている。もう、時間の問題だ」


この世界の遼はいう。あこがれの世界もタカトが知っているデジタルワールドも、もとをたどればひとつの世界にたどり着く。原始のデジタルワールドと呼ばれたその世界から、様々な世界が生まれていったからだ。ミレニアモンは今そこにいる。原始のデジタルワールドを支配しようとしている。大幅な過去改変が行われようとしている。すべてのデジタルワールドのもとになる世界がミレニアモンの手に落ちた。だから、改変の危機が迫っていた。


「ミレニアモンの目的はデジタルワールドの抹殺。デジモンの存在そのものをなかったことにしようとしているのさ。それがどういう歴史を紡ぐのか、キミたちならわかるだろ?」


みんなは青ざめた。それから始まる数時間は、悪夢である。突然、そばにいたはずのデジモンが消えていった。デジタルワールドと現実世界をつなぐ広場の穴が突然とじてしまった。そのかわり、巨大なデジタルゾーンが東京のあちこちに出現し、人間に寄生するタイプのデジモンが大量に出現、世界は大混乱に陥った。時間に干渉して敵を復活させる能力があるミレニアモンは、デジモンと融合することで進化できる手段を持った子供の情報を入手、先手を打ったのだ。時間の狭間に拉致されたルキやジェンを助けるため、タカトはギルモンとともにこの世界の遼に、ミレニアモンがいる世界線に転送してもらうことになる。


「クラヴィスエンジェモン、頼んだよ」

「お気を付けて。この世界のデジタルワールドをどうか、お願いします」


気づいたとき、タカトとギルモンは異世界の新宿にいた。

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