(*在学中で一緒に帰宅途中のバカップルさん) 「今夜は晴れるといいね」 「何で?」 「だって、7月7日だよ? ベガとアルタイルのお話、覚えてない?」 「ああ、プラネタリウムでやってたな、そんな話。要するに織姫と彦星だろ?」 「そうそう。晴れないと星も見えないし、二人も会えなくなっちゃう」 「……別に、自業自得だろ」 「もう、酷い言い方!」 「だって、そうだろ? 碌に仕事もしないでイチャイチャしてたせいで会えなくなったんだろ、あの二人。自業自得以外の何者でもないじゃん」 「そうかなあ? 好きあってる二人なら、仕方ないんじゃないかなあ?」 「だからって、バカップルすぎるのもダメだろ……」 「でも大好きな相手と一緒にいたら、きっと時間も忘れちゃうと思うよ? 周りも見えなくなっちゃうんじゃないかなあ?」 「……分かるけど、それだけじゃダメだろ。やらなきゃいけないことも沢山あるし……仕事とか、勉強とか……」 「勉強? 織姫と彦星が?」 「え? ……ああ、うん、織姫と彦星の話だよな、うん……」 「佐伯くん?」 「とにかく! 恋愛以外にも大事なことや、やらなきゃいけないことはあるだろ! そんなことも忘れて遊び呆けていた奴らの話なんか、知るかよ」 「もう、乱暴な言い方するんだから!」 「…………俺だって、出来るならそうしたいよ」(ぼそぼそ) 「えっ? 佐伯くん、何か言った?」 「別に何でもない!」 「……わたしは、織姫と彦星のお話、好きだけどなあ」 「出た、メルヘン回答。……どうせアレだろ。おまえも悲恋なのがロマンチックvとかって口なんだろ」 「もう、棘のある言い方しないで!」 「でも当たりだろ?」 「……うーん、ちょっと違う、かな?」 「?」 「会いたいのに会えなくて悲恋なことより、そうなってもまだお互いに想いあってることが素敵だなって思うの」 「…………」 「だって、何千年もだよ? 気が遠くなるくらい長い間、ずーっと好きなんだよ。一年にたった一度会えるか会えないかなのに。それってすごいことだよね」 「…………そうだな」 「え?」 「分からなくはないよ、そういう話。きっと、会えなくても好きなんだ。ずっと。見返りとか、関係なしに」 「……そうだね」 「今夜、晴れるといいな?」 「確かめたいけど、起きていられるかなあ?」 「……おまえはお子様か」 「だって、夜は眠たくなるんだもん!」 「……仕方ない。夜、電話してやるから」 「え?」 「おまえが寝てたら起こしてやるってこと!」 「えっ、いいの?」 「ただし電話、一回で取れよ?」 「うん!」 「一回しかコールしないからな?」 「それは無茶だよ佐伯くん……!」 「頑張れ、おまえなら出来る。……多分?」 「どうして疑問形なの!?」 「ま、せいぜい頑張れ」 「う、うん、頑張る…………でも、嬉しいな」 「何が?」 「何だか織姫と彦星みたい。電話越しだけど」 「………………」 「佐伯くん?」 「……おまえ、ロマンチストもいい加減にしろよ」 「えっ、どうして怒るの? ……さ、佐伯くん!!? 顔がすっごく赤いよ、どうしたの!?」 「うるっさい! おまえのせいだよ、バカ!」 「えっ、どういうこと?」 「ウルサイ! 俺に聞くな! たまには自分で悟れ!」 「(怒っちゃった……)」 2011.07.07 *おしまいむまいむ! *晴れたらいいね! *思いのほか縦に長くなりましたたた; *『なんでプラネタリウムが〜』という話かもですが、コミュノベ設定に準拠ということでお願いします……どうしてゲーム中にプラネタリウムデェト出来ないのかなあと小一時間……(ry! [back] [works] |